
他人とはなかなか比べられない生理痛や出血量について「これって普通?」と迷ったことはありませんか?花王の調査では、つらい症状があっても半数以上の女性が受診していないという結果もあります。
この記事ではこうした生理に関する不調の「普通じゃないかも?」を見極めるサインについて、産婦人科専門医の札幌禎心会病院・松本 沙知子先生に分かりやすく教えていただきます。
花王が実施したウェブ調査(2025年/女性20-60代 2,050名)では、生理のある女性1,312名のうち、約8割が生理中に何らかの身体的・精神的症状を感じていることが分かりました。さらに、日常生活に支障が出るほどの不調がある女性は約5割。しかし、そのうちの約4割がそのような症状が続いたとしても「病院を受診しない」と回答し、生理のつらさを仕方ないものとして我慢している実態が見えてきました。(図1)

(図1)
また、同じ女性 1,312名に『Q.生理に関して、どのような症状のときに病院を受診しますか?』と質問すると、1位は「身体的症状の異常」、2位は「経血量の異常」となりました。(図2)
この結果から、多くの女性が「痛み」や「経血量」の異常を受診目安としていると考えられます。

(図2)
しかし、生理痛・出血量は、どれも人と比べにくいため「どこまでが普通?」が分かりづらいもの。ここでは、医学的な仕組みの説明ではなく実際の診療で使われている、受診をおすすめする「生活上の変化・サイン」を松本先生にわかりやすく紹介していただきます。
※ これらは診断ではなく、受診を考える際の目安です。当てはまる項目があっても、必ずしも病気があるとは限りません。

生理痛がつらいとき、痛み止め薬で対処している方は多いのではないでしょうか。「毎月のことだから」、「薬を飲めば何とかなるから」と、 受診せずに様子を見ている方も少なくないと思います。
ですが、生理のたびに痛み止め薬が欠かせない状態は、体からのサインのひとつ。松本先生が注目するのは、「どれくらいの頻度で、どんな飲み方をしているか」です。

生理期間中の出血量はなかなか量ったり人と比べたりしないため、「自分の出血量は普通なのか分からない」という方が多いですよね。特に、出血量が多い状態が続く「過多月経」は、本人が気づきにくい月経トラブルのひとつです。出血量が多くても、毎月同じ状態が続いていると「自分はこういう体質だから」と受け止めてしまいがち。生理の期間だけ貧血気味になる方もいるかもしれませんね。 一方で、生理期間中を通して出血量が極端に少ない「過少月経」も受診を考えた方がいい症状です。そこで松本先生が判断材料にするのは「ナプキンの使い方や状況」とのことです。
<過多月経>
<過少月経>
(昼用のナプキンをほとんど交換する必要がない)
(松本 沙知子先生)

「婦人科に行ったほうがいいのかも…」と思っていても、どんなことをされるのか分からないと、不安になりますよね。婦人科では、症状や相談内容に合わせて、次のような流れで診察が進むことが一般的です。
● まずは問診
今つらい症状や、気になっていることをお話ししましょう。うまく説明できなくても、上のセクションで紹介した「受診をおすすめする変化・サイン」に当てはまる場合は、「生理痛がひどい」「出血が多い(少ない)」とまずは伝えてみてください。
● 内診・超音波検査
子宮や卵巣の状態を確認するため、多くの場合、内診台での診察と超音波検査を行います。これは、婦人科外来で行える検査の中でも情報量が多く、カラダの状態を正確に把握する方法です。検査は、羞恥心や不安に十分配慮しながら進められます。緊張していること、怖いと感じていることがあれば、事前に伝えても大丈夫ですよ。
※ 性交渉の経験がない方など、状況によってはお腹の上から行う超音波検査で対応することもあります。
● 血液検査(必要に応じて)
貧血やホルモンの状態を調べるために行うことがあります。症状や検査内容によって、実施しない場合や自費になることもあります。
「全部を一度にやらなければいけない」というわけではありません。不安なことがあれば、その都度相談しながら進めることができます。
原因に応じてさまざまな治療法があります。
保険適用の治療も多く、費用面の負担が比較的軽いものもあります。
また、症状をそのままにしておくと、痛みや貧血が進んだり、治療の選択肢が限られてしまったりする可能性があります。一方で、早めに相談してもらえれば、負担の少ない治療法を選びやすく、生活の質を改善できるケースも少なくありません。
(松本 沙知子先生)
現在では様々な治療法があり、症状や生活スタイルに合わせた提案ができると思いますので、まずは相談する気持ちで婦人科への受診を考えてみてください。
生理痛や出血量は人と比べる機会が少なく、つい「普通のこと」と思い込んでしまいがちです。
今回ご紹介した変化やサインがあるときは、早めに婦人科を受診することで原因が分かり、毎月の不安がぐっと軽くなることもあります。
また、「知ってほしい」と思う友達やパートナーに情報をシェアすることは、お互いを思いやるきっかけにもなります。
#自分の生理をチェックしよう、のハッシュタグをつけて、ぜひ気づきを広めてみてくださいね。
松本 沙知子先生
札幌禎心会病院 婦人科 / 禎心会さっぽろ北口クリニック 婦人科