
季節の変わり目や雨の日に、「頭痛がする」「だるい」「気分が落ち込みやすい」と感じることはありませんか?
こうした不調は、気圧や寒暖差などの影響による「天気痛」の可能性もあるといわれています。
また、花王調査では、天候による体調変化を感じやすい人ほど、月経前症候群(PMS)の症状が続く期間が長い傾向も見られました。
今回は、天気痛とPMSの関係や、天気痛を感じるみなさんがやっているセルフケアについて、天気痛のプロフェッショナル 佐藤 純先生に解説していただきます。
「雨が降る前になると頭が痛くなる」「季節の変わり目になると、なんとなく体調がすぐれない」といった不調を感じたことはありませんか?
気圧や気温、湿度などの変化によって起こる不調は、一般的に「天気痛」や「気象病」と呼ばれることがあります。
症状には、頭痛、だるさ、めまい、肩こり、気分の落ち込みなどさまざまなものがあり、人によって感じ方も異なります。
それらの症状を感じる理由の一つとして、自律神経への影響が考えられます。
自律神経は体温調節や血流、睡眠、気分など、カラダのさまざまな働きに関わっていますが、気圧や寒暖差といった外部環境の変化による影響を受けやすいもの。
自律神経のバランスが乱れやすくなることが原因のひとつといわれているPMSと、天気痛による日常生活への影響の感じやすさには関係があるのでしょうか。
生理がある女性1,312人を対象にWeb調査を実施したところ、季節の変わり目や天候の変化による不調を感じやすい人ほど、PMSの症状が続く期間が長い傾向が見られました。(図1)

(図1)
また、天気痛による症状は大人だけでなく、自律神経が未熟な子どもにも見られることがあります。
まだうまく不調を言葉にできない場合もあるため、「いつもより機嫌が悪い」「ぼーっとしている」「頭痛や腹痛を訴える」といった変化が続くときは、気候の変化との関係を意識してあげることも大切です。
天気や季節の変化による不調を完全に防ぐことは難しいかもしれません。
そのため、自分に合ったセルフケアを取り入れながら、うまく付き合っていこうとしている人も多いようです。
「こころとカラダ雑談ルーム」のお題「季節の変わり目、どう対処してる?」にもたくさんのアクションが集まりました。
一方で、「本当に効果があるの?」「逆効果になることはない?」と気になる人もいるかもしれません。
ここでは、みんなが実践しているセルフケアについて、佐藤先生に解説していただきました。


睡眠不足は、自律神経のバランスに影響しやすいといわれています。 (佐藤 純先生)
不調を感じやすい時期こそ、生活リズムを大きく崩さないことが大切です。
ただし、寝すぎるとリズムの障害を起こしてしまうので気をつけましょう。


鎮痛薬を飲み過ぎると、「薬剤使用過多による頭痛」になる危険があります。 (佐藤 純先生)
1ヶ月に10日を超えるような服用は控えましょう。
自己判断で飲み続けるのではなく、不安がある場合は医師や薬剤師に相談しましょう。


首元やお腹まわりを温めたり、湯船につかったりすることで、自律神経が整い、リラックスにつながる場合があります。 (佐藤 純先生)
サウナでリフレッシュできると感じる人もいますが、急激な温度変化はカラダへの負担になる場合もあります。
最初から長時間入るのではなく、体調に合わせて調整してください。


ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は、気分転換や血流改善につながることがあります。 (佐藤 純先生)
ただし、強い不調があるときに無理をすると、かえって負担になる場合もあるため注意が必要です。


天気痛を感じやすい方は耳の中にある気圧の変化を感じ取る内耳が敏感なことがわかっています。 (佐藤 純先生)
内耳の血流をよくするためのくるくる耳マッサージは一日3回ほどやってみるといいですね。
自律神経を整えるためには、生活リズムだけでなく、毎日の栄養バランスも意識したいポイントです。
特に、エネルギー代謝や神経機能に関わる「ビタミンB群」は、忙しい時期や疲れを感じやすい時期にも意識したい栄養素です。
豚肉や納豆、卵に多く含まれているので、日ごろの食事でも手軽に取り入れられそうです。
また、近年注目されている成分のひとつに、「ケンフェロール」もあります。
ケンフェロールは、ポリフェノールの一種で、ブロッコリーやほうれん草など身近な野菜にも含まれています。
食べ物だけで不調を大きく改善できるわけではありませんが、「最近食事が偏っているかも」と感じたときに、無理のない範囲で取り入れてみるのもよいかもしれませんね。

気圧や寒暖差による不調は、目に見えにくく、周囲に理解されにくいと感じることもあります。
特に、PMSによるカラダの変化が重なる時期は、「なんとなくつらい」「思うように動けない」と感じる日が増えることもあるかもしれません。
不調の原因はひとつではなく、気候、生活習慣、ストレス、ホルモンバランスなど、さまざまな要素が重なっている場合があります。
だからこそ、「気のせい」で片づけず、自分がどんな時に不調を感じやすいのかを知ることも大切です。
セルフケアは、「これをやれば正解」というものではありません。
自分に合った方法を見つけながら、休息をとる、カラダを温める、食事を整えるなど、できることから少しずつ取り入れてみましょう。
「知ってほしい」と思う友達やパートナーに情報をシェアすることは、お互いを思いやるきっかけにもなります。
この記事が、天気痛やセルフケアについて話すきっかけになればうれしいです。
佐藤 純 先生

医学博士。天気痛ドクター/気象病・天気病外来。愛知医科大学客員教授。
中部大学 生命健康科学研究科 教授。名古屋大学 医学部 非常勤講師。
日本慢性疼痛学会認定専門医。日本医師会認定産業医。
パスカル・ユニバース株式会社 代表取締役。一般社団法人 天気痛治療推進協会 代表理事。
臨床気象病研究会代表幹事。
気象変化による慢性的な痛みや体調不良の研究・診療に長年取り組み、日本で初めて「天気痛外来」を開設。
気圧や天候と不調の関係についての啓発活動や情報発信も行っている。
著書に『なんだか調子が悪いのは「天気痛」かもしれません』(PHP研究所)、『最新版 マンガでわかる「天気痛」のやわらげ方』(小学館)など。