
日常の「これって普通?」を、やさしく解きほぐしていくQ&Aシリーズです。
花王が行ったアンケート調査で集まった、女性のこころとカラダにまつわるリアルな疑問をもとに、各分野の専門医がお答えします。
第2回目は、生理について、産婦人科医の松本 沙知子先生に解説いただきます。
生理の症状に関するモヤモヤや見逃されやすい過多月経についても教えていただきました。
松本 沙知子先生

札幌禎心会病院 婦人科 / 禎心会さっぽろ北口クリニック 婦人科


生理による不調が月ごとに違うのは何か関係しているのですか?
(30代・会社員)

月ごとの違いは、カラダのホルモンバランスと関係していることがあり、多少のゆらぎは自然なことです。
ホルモンの分泌はとても繊細で、寝不足や偏った食事、ストレスなどの影響を受けます。
そのため、同じ人でも月によって痛みや出血量、周期が変化することがあります。
過度に心配しすぎなくて大丈夫です。
ただし、出血量や痛みが月を追うごとに明らかに増えている、あるいは周期が20日になったり40日になったりと大きく乱れる場合は、一度受診を検討してもよいでしょう。

年齢とともに生理の量などは変化がありますか?
(30代・主婦)

年齢とともに、生理の出血量が変化することはあります。
個人差はありますが、年齢を重ねると出血量が徐々に減っていく方が多い傾向があります。
また、初経から数年間や閉経前の時期はホルモンバランスが不安定になりやすく、出血量に波が出ることもあります。
閉経前の時期には、急に出血量が増えることもあります。
ただし、「年齢のせい」と思い込まず、極端に量が多い場合やこれまでと明らかに違う出血がある場合は、念のため受診を検討してください。

自分は生理中の症状が重いのですが、子どもに遺伝する可能性は高いですか?
(30代・会社員)

生理のつらさが親子で同じように遺伝するとは限りません。
月経の症状には体質やホルモンの影響などさまざまな要因が関わっており、親子でも程度や経過は異なることがほとんどです。
実際の診療でも、お母さんは月経に伴う症状があまりなくても娘さんは症状がつらくて相談に来るというケースもあります。
受診された際に「お母さんにつらさを相談しても理解してもらえない」と話される方もいます。症状の強弱にかかわらず、「うちは大丈夫」と決めつけずに、月経について親子で自然に話せる関係をつくっておくことが大切です。
気になる症状があれば、早めに婦人科で相談してみてください。
ただし、強い痛みの背景に子宮内膜症などの疾患が隠れている場合があり、こうした病気には遺伝的な関連が指摘されているものもあります。

腹痛を緩和したり経血量を少なくしたりするために日常で意識できることはありますか?
(20代・会社員)

まずは生活リズムを整えることが基本になります。
十分な睡眠をとる、バランスよく食べる、適度にカラダを動かすといった規則正しい生活を意識することで、症状がやわらぐことがあります。
また、症状に対する強い不安がストレスとなり、さらに不調を強めることもあります。
どの時期にどのような症状が出るのかを記録し、自分の月経のパターンを把握しておくことも、セルフケアのひとつです。
すでに生活習慣を整えているのに症状がつらい場合は、無理に自分だけで何とかしようとしないでくださいね。
お話を伺い、適した治療を考えていくのは医療側の役目ですので、ためらわず相談してください。


年々生理やPMSにおける身体的な不調がどんどん重くなっているのですが、病院を受診したほうがいいでしょうか?
(30代・会社員)

症状が年々重くなっていると感じる場合は、一度受診をおすすめします。
痛みが強くなる背景に、子宮内膜症や子宮腺筋症など治療が必要な疾患が隠れていることがあります。
子宮内膜症は将来的に不妊につながる可能性もあるため、妊娠・出産を希望する場合は特に早めの対応が大切です。
PMSについても、低用量ピルや漢方薬などで症状を和らげられることがあります。
我慢せず、婦人科で相談してみてください。

子宮内膜症と診断されましたが、費用の問題でピルを続けられず、毎月つらい生理に耐えています。このまま放置するとどうなりますか?
(20代・フリーランス)

治療せずにいると、将来の生活に影響する可能性があります。
治療しないままでいると、不妊につながったり、痛みが強くなって仕事や学業に支障が出たり、手術が必要になる場合もあります。
現在はジェネリック医薬品など選択肢も増えており、低用量ピルでも1シートで数百円のものなど、比較的負担の少ないものがあります。
場合によってはもっと安価な他のホルモン製剤を選択することもできます。
治療によって痛み止めの使用が減る、ナプキンの使用枚数が減るなど、結果的に負担が軽くなる可能性もあります。
費用面も含めて、改めて婦人科で相談してみてください。

妊娠を希望していなくても、閉経前に生理が長くこない状態を放置して大丈夫でしょうか?生理がないほうが快適だと感じています。
(30代・会社員)

それまで順調だった月経が3か月以上来ない場合は、原因を調べる必要があります。
妊娠中や授乳中を除いて、順調にあった月経が3か月以上来ない状態を「続発性無月経」といいます。
月経が止まる原因は一つではなく、多嚢胞性卵巣症候群や早発卵巣不全(早発閉経)など、さまざまな背景が考えられます。
原因によって将来的なカラダへの影響も異なるため、妊娠を希望していない場合でも、必ず婦人科を受診してください。
若い年代で卵巣機能が低下し、閉経のような状態になるとホルモン分泌が減少します。その結果、子宮体がんや骨粗しょう症、糖尿病などのリスクが高まることがあります。

産後3年経っても生理が再開していません。子どもが卒乳をいやがり、現在も夕方や夜間に少し授乳していますが、受診した方がよいでしょうか?
(30代・会社員)

授乳中は月経の再開が遅れることがあります。
授乳中だと母乳を作るためのホルモンの影響で排卵が起こらず、授乳していない方に比べて月経再開は遅くなります。
産後1年〜1年半ほどで再開することが多いですが、授乳中に再開する方もいれば、遅れる方もおり、あくまで目安です。
産後1年〜1年半を過ぎても月経が再開しない場合や、授乳をやめてから3か月以上再開しない場合は、内分泌関連の疾患が隠れていることもあります。
念のため一度、産婦人科で相談してみてください。


どのくらいの経血量から過多なのでしょうか?経血量の多さ以外は自覚症状や健診での指摘はありませんが、受診しても良いのでしょうか?
(20代・大学生)

自分にとって日常生活に支障が出ていないと感じていても、過多月経の可能性があります。
目安としては、「昼間でも夜用ナプキンを使わないと漏れてしまう」「経血量が多くて、昼用ナプキンを日中に4回以上交換しないと間に合わない」といった状態です。
過多月経の背景には、子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜ポリープなどの病気が隠れていることもあります。
痛みなどの自覚症状がなくても、経血量が気になる場合は遠慮せず婦人科で相談してみてください。
初日や2日目に経血量が多いのは一般的ですが、「昼用では足りず漏れてしまう」状態であれば過多月経の可能性があります。
「昔からこうだから、自分にとっては普通」と思い込んでしまう方も多いのですが、実は受診の対象になるケースもあります。

貧血気味です。過多月経と関係ありますか?
(30代・会社員)

過多月経が原因で貧血になることはあります。
出血量が多い状態が続くと、血液検査で貧血を指摘されることがあります。
出血量が多いと感じているにもかかわらず婦人科を受診していない場合は、一度きちんと検査を受けることをおすすめします。
生理がある年代の方で、吐き気や下痢などの症状がなければ、まずは婦人科を受診して問題ありません。
生理中でも受診は可能です。
内診に抵抗がある場合は、生理が終わってからの方が気持ちの負担は少ないかもしれません。
ただし、生理中に強い貧血症状がある場合は、タイミングを待たずに受診してください。

過多月経には2種類(①初期の量が異常に多い、②期間が長いため総経血量が多い)があると思いますが、どちらがよりリスクが高いですか?
(30代・自営業)

どちらがより危険ということはありません。
過多月経は1周期あたりの出血量で定義されるため、初期に量が多い場合でも、期間が長く総出血量が多い場合でも、いずれも同様に注意が必要です。
なお、8日以上出血が続く場合は「過長月経」にもあてはまります。
終わりかけの少量出血が数日続く程度であれば心配のいらないこともありますが、出血していない期間が半月しかないなど極端に短い場合は受診を検討してください。

過多月経にならないように自分でできることや気を付けることはありますか?
(30代・会社員)

残念ながら予防策はあまりありませんが、早期発見・早期対処で悪化を防ぐことにつながります。
過多月経の原因として多いのは子宮筋腫や子宮腺筋症などですが、発生のはっきりした原因がわかっていないものもあります。
そのため、自己管理だけで完全に防ぐことは難しいのが現状です。
だからこそ、早期発見が大切です。
定期的に婦人科検診を受けることが、悪化を防ぐことにつながります。
(松本 沙知子先生)
普段の月経周期や期間、出血量や症状が出るタイミングなど、自分で把握できていないと、「いつもと違うな」、「これは受診したほうがいいんじゃないか」と気づくこともなかなかできません。
自分のことを考えられるのは誰よりも自分自身ですので、これを機会にご自身の月経について理解を深めていただけたら嬉しいです。
生理やPMS、経血量の変化は、毎月同じように感じていても、年齢や生活の変化とともに少しずつ変わっていくものです。
「今月はいつもと違うかも」「少し気になるな」と感じる小さな違和感は、今の自分を知る大切なサイン。
無理に我慢せず、その時点で医師に相談することで、安心につながることもあります。
自分のカラダの変化に気づき、知ることは、心地よい毎日への第一歩です。
セルフケアを取り入れたり、必要に応じて専門家の力を借りたりすることは、自分を大切にする行動のひとつ。
今回のQ&Aが、「相談してみようかな」と思えるきっかけとなり、これからの日々を少しでも心地よく過ごすヒントになればうれしいです。
「そういうことだったのか!」「よく理解ができた」と感じたら、「知ってほしい」と思う友人やパートナーにも話してみてくださいね。
あなたからのひと言が、お互いを思いやるきっかけになるかもしれません。
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