2023年12月5日
節約アドバイザー和田由貴さんに聞く
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2019年10月から消費税は10%になりました。家計を見直す動きもみられるなか、新たな時代を心豊かに生きるための節約術について、上手な暮らし方や節約・省エネの専門家である和田由貴さんにアドバイスをいただきました。
節約は、目的ではなく手段です。最終的な目的は、使わないように我慢することではなく、暮らしと心を豊かにしてくれる「生きたお金の使い方」をすること。必要なお金をきちんと使うために、ムダな部分を省くことが節約です。
なんとなく使ってしまった5万円と、メリハリをつけて満足のいく使い方をした5万円。
どちらが「生きたお金」の使い方かは、一目瞭然!
ついつい買ってしまって、いつの間にか5万円使い切ってしまった…
栄養も考えて自炊に3万円。
残った2万円でおいしい外食
無謀なダイエットをして、結局リバウンドしてしまうことがあります。節約も同じこと。無理な節約をしても、継続できなければすぐに元の家計に戻ってしまいます。それよりも、少しずつでも継続したほうが、節約効果は上がります。そこで、ぜひ覚えておきたいのが、節約体質になるためのルール。日常の意識を少し変えるだけで、家計のムダを減らせます。
必要だから買うのであって、「安くなっていたから買う」はNG。「価格」が動機だと、必要のないものを買ってしまいがちです。
例えば、ダイエットで「短期間に10㎏減量!」の目標を立ててもすぐに挫折してしまいます。節約も同じで、無理難題を課してしまうと長続きしません。継続してこそ意味があります。
迷うときは買わずに、絶対に必要になったときに買えばいいのです。
「これにこれだけのお金がかかるのは妥当かな?」を常に考えてから使う習慣を付けましょう。
「節約してお金が残ったら貯蓄しよう」では、お金は残りません。貯蓄分(額)をはじめに先取りして、残ったお金をやり繰り(節約)しましょう。
貯蓄したいお金は、定額預貯金や職場の財形貯蓄など、手続きしないと引き出せない状態にすると確実に貯められます。
例えば、服を購入するとき「1シーズン着ると1回あたりいくらか」など、費用対効果を考えて購入を判断しましょう。
ストレスをためずに節約して、使うべきところにはお金を使う。それが理想的な節約生活です。
「固定費だから削れない」とあきらめていませんか?多くの人は、食費や交際費など目に見えてわかりやすいお金から節約しようとしますが、これは失敗の元。節約の第一段階では、固定費を見直しましょう。
例えば、食費の場合、おかずを1品減らすと食の質も変わり、生活自体が変わってしまいます。そうなると心的ストレスは大きくなり、節約を継続しづらくなります。
一方、住宅ローンや保険料、携帯電話の基本料金などを見直した場合、生活が大きく変わることなく無理なく続けられるため、効果も期待できます。
「節約=家計簿をきちんとつける」と考えていませんか?1円、10円合わなくて投げ出してしまう人も結構いますよね。家計簿をつけるのが苦手な人は、費目ごとに「いくら使う」という枠さえ決めておけば大丈夫。例えば、食費の月額を決めたら、「この金額内でおさまればいい」くらいのざっくりした管理にしてみましょう。袋分けでもOK!
「自分や家族は、ここにお金を使いたい」という目標を明確にしておきましょう。そうすることで、自然に締めるべき部分もみえてきます。節約は我慢することではなく、メリハリのあるお金の使い方をするということです。
家計の中で電話通信料の占める割合は、年々増加しています。この費用を節約する上で注目したいのが、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)と呼ばれる格安SIMカード販売事業者です。「格安SIM」「格安スマホ」「格安ケータイ」と同義で使われることもあります。通信の音質・速度・つながりやすさは、大手キャリアのサービスとほぼ変わらないので、検討の余地はあるでしょう。
また、最近は大手キャリアのオンライン専用プランもあります。
「サブスクリプション(サブスク)サービス」とは、定額で使い放題となるサービスのこと。「動画見放題」「音楽聴き放題」など、いろいろあります。スマートフォンの初回契約時に複数のサブスクサービスも契約し、実際には利用していないのに月々お金だけ払っているケースも多いようです。「なぜか通信費が高い」と感じる場合は、契約内容を確認してみましょう。
食品は「使い切る」→「買う」のサイクルをつくることが大事です。使い切る前に買い足すと、結局使い切れずに無駄になることが多いからです。
また、お総菜や半調理品、便利食材、ドレッシングなどは「(調理時間の短縮のため)時間を買っている」といった目的があって購入するならいいでしょう。
①「この料理には、この食材が必要」ではなく、今ある食材で献立を考える。
②缶詰や乾物は、月1回、賞味期限を総チェック!定期的に使い切る。
食費は1カ月の予算を決めて管理しましょう。その際、予算を3:1に分けておくのがコツです。日々の買い物に使う予算は「3」、お米など長期保存の食品は「1」に。こうすると、「予算を日割りして買い物していたのに、月末にお金が足りなくなった…」という失敗を防げます。
例えば「4万円の食費」なら…
冷蔵庫、照明器具、エアコン、温水洗浄便座など、電気を多く消費する家電は、近年、節電の性能が飛躍的に向上しています。家電を買い替える場合は、省エネ効果が高いものを選ぶと電気代が節約できます。ただし、家電品は決して安い買い物ではないので、費用対効果を試算して、買い替え時期の検討を。環境省が運営しているサイト:省エネ製品買換えナビゲーション「しんきゅうさん」が参考になります。
また、熱を発生する家電(炊飯器、電気ポット、食洗機、電気カーペット、洗濯乾燥機など)を多用していたり、長時間使っていたりする家庭も電気代が高くなりがち。使い方を見直すことも大切です。
家庭のエネルギー全体の使用量でみると、「給湯」は29%を占めてトップ。次いで「暖房」26%、「厨房」10%と続きます。(資源エネルギー庁 「エネルギー白書2023」)
お湯は、水と比べて約3倍のコストがかかるため、お湯の使い方に注意をしていくと節約効果は大きくなります。
中でも、家庭で一番多く水を使う「風呂」での節水は、見直す効果大。入浴時のシャワーはこまめに止める、節水シャワーヘッドを使うなど、お湯の無駄遣いをなくしましょう。
スマホの契約やQRコード決済など、近年は新しいシステムやサービスが次々と生まれています。いまや「知って得する」から「知らないと損する」時代に。「面倒くさい」「よくわからない」と敬遠せずに、少し興味を持って調べてみましょう。利用してみると、意外と便利に感じるかもしれません。
【監修】
和田由貴(わだゆうき)さん
消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザーなど、幅広く暮らしや家事の専門家として多方面で活躍。また、環境カウンセラーや省エネルギー普及指導員でもあり、2007年には環境大臣より「容器包装廃棄物排出抑制推進員(3R推進マイスター)」に委嘱されるなど、環境問題にも精通する。私生活では2人の子をもつ母。日常生活に密着したアドバイスを得意とする。