いつまでも自分の脚で行動したい

フレイル予防!日常生活での3つのポイント

フレイルとは?

フレイルとは「虚弱」や「老衰」と訳され、加齢や運動・栄養不足による体力の変化から、さらに運動不足・食欲・筋力・歩行能力などの低下を招き、活動量が減ることを言います。高齢者も健康な状態から、いきなり要介護になるケースは少なく、このフレイル(虚弱)期間を経て、要介護期を迎えます。

フレイルの概念イメージ図

健脚の高齢者がいる一方、引きこもりがちな高齢者もいます。そのカギを握るのが「健康」と「要介護」の間に位置する「フレイル(虚弱)」期間。
運動不足→食欲がわかず筋力が低下→歩くのが億劫→引きこもり→さらに運動不足というように、「フレイルの負のスパイラル」に陥らないようにすることが大切です。

フレイル負のスパイラルのイメージ図

フレイルをセルフチェック!

最近、「やせた?」と言われるようになった、瓶やペットボトルのフタが開けにくい、友人と並んで歩くと遅れがちになるなど、日常の何気ない気付きのなかに、フレイルの影が潜んでいます。
自分がフレイル状態かどうか、まずはチェックしてみましょう。

フレイル・セルフチェック

  • □体重減少(6カ月で2~3kg以上の体重減少)
  • □筋力低下(握力が男性26kg、女性18kg未満)​
  • □疲労感(ここ2週間でわけもなく疲れたような感じ)​
  • □歩行速度の低下(通常歩行で毎秒1m未満)
  • □身体活動(軽い運動・定期的な運動を週に1度もしていない)
  • (日本老年医学会日本版CHS基準より)

3つ以上なら「フレイル」状態 1つでもあてはまるなら「プレフレイル」状態よ。

また、加齢や疾患により筋力低下がおこり、身体機能が低下していないか、「指輪っかテスト」で筋肉量をチェックしてみましょう。

ふくらはぎの筋肉量をチェック(指輪っかテスト
1)椅子に座った状態で
2)両手の人差し指と親指で輪っかを作ります
3)利き足ではない方のふくらはぎの一番太い場所を力をいれずに軽く囲んでチェックします

  • 「指輪っかテスト」は東京大学高齢社会総合研究機構が実施した柏スタディをもとに考案されました

筋肉量の判断イメージ。 ふくらはぎが囲めないと筋肉量が多く、囲んですき間ができると筋肉量は少ない。

単純に、脚が細くなったと​喜んではダメよ

フレイル予防① 日常生活で筋力維持

まずは日常生活からフレイル予防を意識してみましょう。

1 家事

大きな動きで筋力維持

ふだんの家事も、いつもより大きな動きを意識すると、いい筋刺激になります。
ただし、痛みやふらつくときは無理はしないでください。

例)
・床を片付け、大きく一歩踏み出すように掃除機やワイパーをかける
・洗濯物をしっかりふりさばく など

2 姿勢

よい姿勢で筋力維持
 

ふだんから姿勢のよい「座り方」「立ち方」を意識するだけでも、腹筋・背筋の刺激には有効です。例えば、デスクワークや電車・バスでの座り方、立ち方を意識するのは、今日からでもできそうです。姿勢ひとつで外見も若々しくみえます。

姿勢のよい座り方、姿勢のよい立ち方のイメージ

姿勢が悪くなると?

  • ・腰が曲がって、背が低くなる
  • ・老けてみられやすくなる(若さが失われる)
  • ・肩こりや腰痛を引き起こす原因となる
  • ・背筋・腹筋などが更に衰える

3 食事

タンパク質で筋力維持

高齢者はタンパク質不足で筋力が落ちることがあるので、タンパク質摂取を意識したバランスのよい食事を心がけましょう。食欲がない、ふだんから少食など、食事からタンパク質をとりにくい場合は「プロテイン」飲料やスナックなどの栄養補助食品もおすすめです。

フレイル予防② 座ったままできる筋トレ運動

ふだん歩く習慣がなかったり、少し体力が落ちているときには、いきなり早く歩くのは禁物です。 まずは軽い筋トレを行い、筋力をつけながら、近所に散歩や買い物に行ったり、お出かけする機会を増やして、歩く力をつけましょう。

刺激される筋肉部位​

指:指先の曲げ伸ばしのイメージ

指だけ、ゆっくり曲げ伸ばし(完全にグーにはしない)。指の力が鍛えられ日常の動作が楽に。

すね:つま先上げ下げのイメージ

かかとを軸につま先を上下に。すり足改善に効果的。

腹筋:片ひざ上げ・胸寄せのイメージ

①足を上げる。
②交互にももを胸に引き寄せる。腹筋を意識すると効果的。

もも:片足上げ・ひざ伸ばしのイメージ

①足を上げる。
②足先を手前にひいて、ひざを伸ばす。かかとを高く上げると効果的。

フレイル予防③ 快適ウォーキングのコツ

フレイル予防のためのウォーキングは、ダイエットや脂肪燃焼のためのウォーキングとは違い、加齢による筋力低下からくる腰痛やひざ痛、転倒などを予防するために、筋肉や骨を刺激することが目的になります。ただ歩いて歩数をかせぐのではなく、筋肉を意識して効果的なフォームでいつもより少し早い速さで歩くとより効果的です。

フレイル予防のウォーキングフォーム チェックシート

  • □目線:前方、少し遠くを見る → 上体が上がり背筋が伸びる
  • □背筋:伸ばすことを意識 → 歩幅が自然に広がる​
  • □腕:力は入れずに楽に振る → 足が出やすくなる​
  • □着地:かかとから着地 → 骨にいい刺激になる
  • □つま先:つま先(親指)で蹴りだす → 歩きが早くなる

ウォーキングフォームのイメージ

いつもより 10cm大股で

歩行時の靴の選び方

  • ・靴ずれの心配がない
  • ・指先が余裕をもって動かせる
  • ・土踏まずに靴のパッドがフィットする
  • ・衝撃を十分に吸収できる靴底である

ハイパー研究員リリカさんずアドバイス

ハイパー研究員リリカさんずアドバイス

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「かかと着地」が骨を丈夫にする

ウォーキングでかかとから着地すると、全体重が片足のかかとにかかり、その刺激で骨の代謝が促進され骨密度が高まります。「かかと着地」を意識しましょう。

靴底を見ればフォームがわかる

正常な歩き方をしていれば、「かかとのやや外側」から「左右同じくらい」減ってきます。他の場所や左右非対称に減っている人は、知らず知らずのうちに悪い歩き方になっている可能性があります。時々、靴底をチェックしてみましょう。


知らず知らずのうちに進んでしまうフレイル。40歳過ぎたらセルフチェックで予防を心がけ、いくつになっても自分の脚で楽しみたいですね。

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