2023年12月19日
身体に障害がある人 327人の声
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今回は、普段知る機会が少ない『身体に障害がある人』の掃除についての声を特集します。
※当サイトでは、視覚障害のある方が利用するスクリーン・リーダー(コンピュータの画面読み上げソフトウェア)が正確に読めるように、「障害者」を「障がい(さわりがいと読み上げられる)」ではなく「障害」と表記しています。
障害の有無にかかわらず、日常生活で欠かせない家事の一つである掃除。
障害の種類や程度は様々ですが、身体に障害がある人で「自分自身」がリビングの掃除をする人は約8割、ホームヘルパーや家事代行サービスといった外部サポートの利用は1割程度でした。リビングや自室の掃除は、大多数の人が「自分自身」や「同居家族」で行っています。
身体の障害って?
上肢障害(手や腕が使いにくい)、下肢障害(足を動かしにくい)、体幹機能障害(体を支えることが難しい)、視覚障害、聴覚障害、内部障害(身体の臓器などに障害がある)など、身体機能に何らかの障害があることです。
「自分自身」でリビング掃除をする人が使っている掃除道具で、最も多いのは「掃除機」(89%)。次いで「フロア用ワイパー」(47%)、「ウエットティッシュ」(32%)、「粘着式クリーナー」(31%)と続き、「ロボット掃除機」の利用は11%で、障害の有無による大きな違いはあまり見られません。
片手では雑巾をしぼりにくい、拭き掃除がしたくてもできない。(60代以上男性、上肢障害)
掃除機を持ったまま移動することが難しく、細かいところまで手が届きません。(30代女性、下肢障害、室内で車椅子使用)
座らないと掃除できないので大変。あぐら、正座ができないため、足を伸ばしての清掃はキツいです。(50代男性、下肢障害)
床に降りて這わないと掃除ができず、掃除が終わったら介助してもらわないと車椅子に戻れません。(20代女性、下肢障害、室内で車椅子使用)
腰に力が入らないため、掃除機をかけられない。(50代男性、体幹障害、室内で杖使用)
床に落ちているごみが見えないので、いつも全体的に掃除をしています。急いでいるときなどは汚れている箇所だけ掃除できたらいいのにと思ってます。(20代女性、視覚障害)
掃除機や拭き掃除は、綺麗になったのか、なっていないのか、自分で見て確認出来ません。(40代男性、視覚障害)
掃除機を使いたいが、ごみではないものを吸い込んでしまう恐れがあります。(50代女性、視覚障害)
掃除機のごみが詰まっても音の変化に気付かず、アラームランプを見て気付くことも。(20代女性、聴覚障害)
掃除中に水道の水を出しっぱなしにした事がある。(50代男性、聴覚障害)
宅配が来る日だと、玄関のチャイムが聞こえなかったらと思うと掃除機を使うことをためらう。(30代女性、聴覚障害)
補聴器をしたまま掃除機をかけると、とんでもない騒音に聞こえるため補聴器を外して掃除。聴こえる音がかなり制限され、掃除機の音以外が聞こえない。(40代女性、聴覚障害)
障害の種類によっては「力を入れる」「長時間立つ」「前かがみになる」「しゃがむ」という動作が難しかったり、「雑巾を絞る」「掃除機を持って移動する」という何気ない行為が負担になったりすることも。また、視覚障害では、そもそも「ホコリや汚れが見えにくい」「掃除の仕上がりが確認できない」など、掃除をする動作以外での困りごともあがりました。
掃除機が重いので普段はフロアワイパーを使用。(40代女性、上肢障害)
雑巾をきちんと絞ることができないので、ウエットティッシュなどで拭いています。(50代女性、上肢障害、室内で杖使用)
かがまないで済むように、掃除は長さのあるものを利用している。(30代男性、下肢障害、室内で車椅子、杖使用)
極力、床に物を置かないようにしてます。掃除機やフロアワイパーなどを使い、しゃがんだ姿勢で掃除をしなくていいようにしてます。(50代女性、下肢障害)
掃除機をかけていても、つかまる場所を確保する。(30代女性、内部障害)
長い時間立ってることが辛いので、柱や壁などを片手で支えにしながら、短時間に分けて作業してます。自室などは、座って片付けながら掃除機をかけてます。部屋が片付いている時はロボット掃除機で。(50代女性、体幹障害、室内で歩行器使用)
ホコリが見えないので、毎日掃除する。(50代女性、視覚障害)
猫を飼っているため、掃除機をかけたあとにフロアワイパーを使用し抜け毛をなるべく床に残さないようにする。(40代女性、視覚障害)
自分は聞こえないけど、近所に配慮して、昼間も夜遅い時間でも静かに掃除が出来るフロアワイパーや、髪の毛を取ってくれる粘着式クリーナーを使用してます。(40代女性、聴覚障害)
見えづらさがどうしてもあるので、できるだけ家族を巻き込むように心がけています(笑)。夫や子どもに、お母さん一人でできると思われると、自分だけでやることになっちゃうので…。(30代女性、視覚障害)
できるところだけ先に掃除して、残りは家族に任せる。(50代女性、上肢障害)
立って歩くことが困難なので、座って届く範囲だけ掃除しています。多少の汚れは気にしないようにしてます。(50代男性、体幹障害、室内で杖使用)
古い歯ブラシでリビングのフローリングの溝を、のんびり座りながら掃き出すように掃除。座りながら身体をゆっくり動かすとリハビリになります。床は綺麗になり身体も無理なく使え、力も要らなくて、集中力も養えて良いですよ。(60代以上女性、体幹障害、室内で杖使用)
アンケート結果からは、身体への負担を極力避け、楽になる道具を選んだり、汚れが見えないから、毎日掃除をしたり、聞こえなくても周囲には騒音の配慮をするなど、「できる範囲の掃除は自分でしたい」そんな思いを大切にしていることが伝わってきました。
また、「掃除は私がしなきゃ」と気負わず、できないことは家族やヘルパーを頼り、「多少汚れていても気にしない」とポジティブな気持ちの切り替えも、掃除という家事を続けるコツだと感じました。