10年目を迎えるSDGs

環境にいいこと、続けていますか?

SDGsの認知は82%に。気になる環境分野への貢献意欲

2019年の調査では「SDGs(持続可能な開発目標)を知っていますか」との問いに対し、過半数を超える65%の人が「知らない、わからない」と答えていました。今回の調査では、82%が「知っている」*という高い水準に達し、「内容を知っている」**人も57%まで増加しました。情報源としては20~60代男女の約7割がテレビ、学生になると学校が56%と、メディアや学校教育の影響が大きいようです。

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    「詳しい内容まで知っている」「一部の内容は知っている」「見たことがある、聞いたことがある」の合計
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    「詳しい内容まで知っている」「一部の内容は知っている」の合計

SDGsを知っていますか 2019年~2024年SDGs認知度推移グラフ 首都圏在住20~60代男女 2019年1,395人、2020~2024年各1,400人(花王 コンシューマーインテリジェンス室調べ) 詳しい内容まで知っている、一部の内容は知っている、見たことがある・名前は聞いたことがある、知らない・分からないの4択 それぞれ、19年 5%、14%、16%、65%、20年 7%、26%、23%、44%、21年 10%、42%、25%、22%、22年 11%、52%、23%、14%、23年 11%、48%、25%、16%、24年 10%、47%、25%、18%

SDGsでは、貧困や飢餓、教育、気候変動など社会・経済・環境の側面から17の開発目標が設定されています。そのうち生活者が貢献したい項目の上位は、「海や陸の豊かさを守る」「気候変動への対策」といった環境分野。特に既婚男女(20~60代)は関心が高く、未婚男女(20~30代)になると、貧困や飢餓、平等などの項目も入ってきます。

ここで気になるのが、環境分野への関心の割合。環境分野以外は5年前とあまり変動がないのに対して、既婚男性(20~60代)と未婚女性(20~30代)の「海の豊かさを守ろう」は2019年に比べて8%程度、「陸の豊かさを守ろう」は3~5%減少しています。その一方で、既婚女性(20~60代)は「気候変動に具体的な対策を」への関心が5年前より高まっており、引き続き環境分野へ関心を持ち続けている様子がうかがえます。

今後貢献したい目標の図表 各属性上位5項目(複数回答) 首都圏在住20~60代男女 2019年1,395人、2024年1,400人(花王 コンシューマーインテリジェンス室調べ) 24年、19年、5年の差 それぞれ、20~60代既婚女性  1位 海の豊かさを守ろう 27%、25%、2ポイント 2位 陸の豊かさを守ろう 25%、23%、2ポイント 3位 気候変動を具体的な対策を 23%、18%、5ポイント 4位 飢餓をゼロに 19%、20%、-1ポイント 5位 住み続けられるまちづくりを 18%、14%、4ポイント 20~60代既婚男性 1位 海の豊かさを守ろう 17%、25%、-8ポイント 2位 気候変動に具体的な対策を 15%、14%、1ポイント 3位 貧困をなくそう 15%、15%、0ポイント 4位 陸の豊かさも守ろう 15%、18%、-3ポイント 5位 すべての人に健康と福祉を 13%、13%、0ポイント 20~30代未婚女性 1位 すべての人に健康と福祉を 18%、17%、1ポイント 2位 海の豊かさを守ろう 18%、27%、‐9ポイント 3位 飢餓をゼロに 17%、18%、‐1ポイント 4位 平和と公正をすべての人に 17%、15%、2ポイント 5位 陸の豊かさを守ろう 16%、21%、‐5ポイント 20~30代未婚男性 1位 海の豊かさを守ろう 16%、18%、‐2ポイント 2位 働きがいも経済成長も 15%、10%、5ポイント 3位 貧困をなくそう 13%、10%、3ポイント 4位 飢餓をゼロに 12%、10%、2ポイント 5位 すべての人に健康と福祉を 12%、11%、1ポイント

世代間で差がある環境への意識と行動

普段実践していることを聞いてみると、女性の方が男性と比較して20~25%ほど実施率が高く、環境に対する行動が定着していることがわかります。2018年と2024年で比較すると、2020年のレジ袋有料化もあって、エコバッグを持ち歩く人が男女とも大幅に増えました。他に実施率が上がったのは、マイボトルや水筒を持ち歩くこと。一方、その他の行動は男女ともに減少傾向が見られます。

普段の生活や買い物で実施していること(2018年と2024年の比較・男女別) 上位8項目(複数回答) 首都圏在住20~60代男女、2018年2,740人、2024年3,078人(花王 コンシューマーインテリジェンス室調べ) 18年女性、24年女性、18年男性、24年男性 それぞれ、エコバッグを持ち歩いている 64%、78%、34%、52% 洗剤やシャンプーなどは詰め替え商品を購入している 71%、68%、47%、45%使っていない部屋の電気はこまめに消す 73%、66%、50%、48% ごみは自治体のルールに従ってきちんと分別して出す 65%、61%、44%、44% 古着や古タオルを掃除などに使う 62%、59%、34%、34% マイボトル・水筒を持ち歩くようにしている 56%、57%、25%、33% 入浴時はシャワーをこまめに止める 54%、52%、38%、35% LED電球を使っている 54%、50%、48%、46%

年代別で見てみると、20~30代と40~60代では大きな差があることがわかりました。40~60代では、ほとんどすべての項目の実施割合が過半数を超えており、日頃の習慣になっているようです。

一方の若い世代では、エコバッグの持ち歩きは54%と半数を超えるものの、それ以外の項目ではいずれも低い結果となり、上の年代とは20%以上差があるものも多くあります。その理由はどこにあるのでしょうか。

普段の生活や買い物で実施していること(年代別) 上位8項目(複数回答) 首都圏在住20~60代男女、2024年3,078人(花王 コンシューマーインテリジェンス室調べ) 20~30代男女、40~60代男女 それぞれ、エコバッグを持ち歩いている 54%、72% 洗剤やシャンプーなどは詰め替え商品を購入している 45%、64% 使っていない部屋の電気はこまめに消す 43%、65% ごみは自治体のルールに従ってきちんと分別して出す 38%、61% 古着や古タオルを掃除などに使う 32%、55% マイボトル・水筒を持ち歩くようにしている 38%、49% 入浴時はシャワーをこまめに止める 34%、50% LED電球を使っている 31%、59%

環境にかかわる意識を聞いてみると、「環境問題は大きすぎて解決できる気がしない」 (20~30代45%、40~60代43%)、「環境によくてもお金のかかることはやりたくない」(それぞれ57%、54%)と、年代に限らず多くの人が思っています。差があるのは、「環境によくても手間のかかることはやりたくない」(20~30代50%、40~60代43%)、「環境によいことは、みんなでやらないと意味がない」(それぞれ56%、62%)という項目。

この差の背景には、育った時代の違いが影響していると考えられます。便利な時代に育った若い世代にとっては、たとえ環境によくても「手間のかかることはやりたくない」と感じやすい傾向があります。また、近所づきあいや地域での助け合いを経験してきた40~60代は、「みんなでやらないと意味がない」と考える割合が高いと考えられます。こうした意識の違いが、20~30代で環境に対するアクションを起こす人が少ない理由の一因となっているのではないでしょうか。

環境への意識 図表 首都圏在住20~60代男女、2024年1,400人(花王 コンシューマーインテリジェンス室調べ) 「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」の合計 20~30代、40~60代、年代の差 それぞれ、環境変動や海の豊かさなどの環境課題は大きすぎて、解決できる気がしない 45%、43%、2ポイント 環境に良いことであっても、お金のかかることはやりたくない 57%、54%、3ポイント 環境に良いことであっても、手間のかかることはやりたくない 50%、43%、7ポイント 環境によいことは、みんなでやらないと意味がない 56%、62%、-6ポイント

環境への取り組みを習慣化させる3つのポイント

取り組みを続けていくためのキーワードは、「習慣化」。実践している人に聞いてみると、無理なく続けるには3つのポイントがあることがわかりました。環境にいいから、というだけでなく自分自身にとってプラスになることが大切なようです。続けていると次第に環境に負荷をかけることへの抵抗感や、大人を見て子どもが学んでいく期待感も生まれています。

1 環境にもお財布にもやさしい

冷暖房の設定温度を調整したりして、電気のムダづかいを減らしている。移動は車より徒歩や自転車で。エコにもいいし自分のための節約にもなるので、一石二鳥でしている感じ。(30代女性)

フードロスを減らすために、賞味期限が近い値引き商品を購入したり、食べきれる量だけを注文して食べ残しをしないようにしています。(60代男性)

マイボトルは多少手間だが、習慣化するとペットボトルを買いたくなくなる。捨てることに抵抗が出てきた。(40代女性)

2 同じ使うなら環境にいいものを選ぶ

日焼け止めの中にも、海に影響を与えるものもあると知って製品を選ぶようになった。海に行くことが多く、珊瑚などへの影響が気になる。もっと良いものがあれば知りたい。(30代女性)

詰め替えのある商品を選んで使っている。詰め替えをするとゴミが減る、焼却量が減るので空気にも良いと思う。(30代女性)

紙パッケージ品を選択するなど、環境問題に取り組む商品を出来るだけ選択する。(50代女性)

電気自動車を使い排気ガスを減らす。地球温暖化などが深刻でしっかりと対策しないといけないと思うし、汚い環境で暮らしたくないから。(30代男性)

3 なるべく捨てずに長く使う

家電や家具はしっかりした作りのものを買って、長く使いたい。洋服なども長く使っていると愛着が湧いて大事にしようという気持ちになる。捨てるものが減って、あまりゴミが出なくなるのは嬉しい。(30代女性)

買ったものはなるべく長く大切に使っている。ものを大事に扱うことなら自分でも出来ると思ったから。今後も続けていきたい。(50代女性)

購入したバイクや家電製品などが故障した場合に、買い替えるのではなく自分で修理して廃棄をしないようにしている。買う時に自力で修理可能かどうかをポイントとすることもある。(30代男性)

まだ使えるものはリサイクルショップへ。売れても安い金額なのでお金のためというより、せっかく使えるなら捨てるよりどこかに回したいから。自分の母親も物を大切にしていた。自分が母を見て思っていたように、子どもたちにも自分を見て感じてくれたらいい。(40代女性)

次世代のために自分にできることは?

画像:SDGS 世界を変えるための17の目標

10年目を迎えて、多くの人に内容まで理解されるようになった「SDGs」。今回は、日常に溶け込んできたからこその難しさを感じる結果でもありました。環境への取り組みは、役に立っている実感を得にくく、忙しい時などはつい後回しになってしまうかもしれません。しかし実践している人の声を聞くと、エコカーや太陽光パネルのような大きな取り組みだけでなく、誰もが行える日常のちょっとした行動や心がけでも貢献できることを再認識させられます。

SDGsの達成期限となる2030年まで、あと5年。世代によって環境への意識や行動に違いはありますが、「環境によいことは、みんなでやらないと意味がない」と考える人も少なくありません。次の世代のためにも自分にできることは何か。いま一度、アクションプランを考えるきっかけにしていただけたらと願います。

【調査概要】

「環境・SDGsに対する意識と行動調査」
◎2019年8月、2020年10月、2021年9月、2022年11月、2023年12月、2024年11月/インターネット調査/首都圏在住20~60代男女/2019年1,395人、2020~2024年各1,400人
◎2023年9月/オンラインインタビュー調査/20~50代女性/10人

「生活者の暮らしに関わる意識と行動調査」
◎2018年11月、2024年9月/インターネット調査/首都圏在住20~60代男女/2018年2,740人、2024年3,078人

【参考情報】

国連広報センターより公開されている日常生活で簡単に取り入れられる行動をまとめたアクションガイドをご紹介します。
持続可能な社会のために ナマケモノにもできるアクション・ガイド(改訂版)(外部サイトへリンク)

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