毎月22日は # ふうふの日 ふたりのショートストーリー いつしかあたりまえになったふたりで過ごす日常。でも、そこにはきっと小さくとも素敵な物語が。

【連載】毎月22日は # ふうふの日|ショートストーリー

花火が近づけた2人の距離。浴衣と夏とビオレのシート。

STORY004

牡丹星が照らしたもの

会話のないリビングで、黙々とネイルをする妻のナツミ。
紺地に白で描かれた繊細な模様は、いつかの花火のようだった。
―毎年行く約束だったけど、去年は行かなかったもんな。
僕は心の中で呟いた。

数日後、花火大会のチラシを持ち帰った。
「今年で二人とも三十歳だし、記念に」
それを見たナツミは僕に、なんか思ってるなら言って、と。
「今でも花火、好きなんでしょ?」
そう伝えると、ナツミは少し目を伏せて、どこか噛みしめるように頷いた。
 
二年前の冬、ナツミの耳が聞こえなくなってから、
コミュニケーションが取りづらくなり、少し距離を感じていた。
だからこそ、何でもいいから前に進むきっかけが欲しかった。

七月二十四日、花火大会当日。
二人の下駄が高鳴る中、僕が暑さを隠せずにいると、
「私は浴衣着る前に、ビオレのシート使ったし、さらさら」
と、ナツミは自慢げに首元を撫でてみせた。
その時、夜空に大きな牡丹星が咲いた。

最後の花火が打ち上がると、人混みからそっと離れるように歩いた。
そして河川敷の隅に腰掛け、袂から線香花火を取り出した。
「去年の花火、今から」
僕の拙い手話にナツミは相好を崩した。

白い牡丹が描かれた指先で、そっと目頭を拭いながら。

花王 作成センター

ビオレZeroシート 1枚で全身 快適をまとって、ずーっとさらさら

毎月22日は # ふうふの日

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