【もったいないを、ほっとけない。そのワケ】
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これまで使い捨てチューブが当たり前だったハミガキに、つけかえタイプが誕生! 2023年4月に発売となった新シリーズ「ピュオーラ36500」の容器は、軽い力でボタンを押すだけで最後までムダなく使い切ることができ、使い終わったら再びつけかえパックをセットするだけ。同量のチューブに比べて、廃棄プラスチック量と廃棄時のCO2排出量を約38%削減*2しました。
プロジェクト発足からわずか1年というスピードで、日本初*1となる画期的な容器を完成させた包装技術研究所の相川研究員がこだわったのは、使い勝手のよさ。開発に込めた想いを取材しました。
*1:Mintel社データベース(GNPD)を用いた花王調べ(2022年7月)
*2:ホルダー・ポンプは含まない/交換時の内容量あたり削減量(ピュオーラ115gチューブとの比較)
<プロフィール>
相川 知美(あいかわ・ともみ)
2013年花王入社 包装技術研究所
「もともとモノづくりが大好き。生活者の役に立つモノをつくりたくて、花王に入りました。今回開発したつけかえ容器の技術は、今後さまざまな製品に使われる予定です」
——今回、どのような経緯から、日本初*1となるハミガキのつけかえタイプを開発することになったのですか?
相川:ピュオーラ36500は、「未来のためにポジティブな気持ちでオーラルケアをしてほしい」という願いを込めた新シリーズです。ポジティブな気持ちを容器の面からも後押ししたいという想いで、開発にチャレンジしました。
環境にやさしいのは当たり前。そこから一歩進んでこだわったのは、使い勝手のよさです。
——つけかえパックは、どんな点が使いやすいのですか?
相川:使い捨てチューブも、最初のうちは何の問題もなく使えます。しかし中身がなくなっていくにつれて、しぼり出すのが難しくなりますよね。みなさん、最後は押したり、振ったりしているのではないでしょうか?
そういう苦労をせず、最後までラクに使い切れるのが、つけかえパックの最大の特長です。
——ハミガキを最後までラクに使い切れるとは驚きです! どんな花王の技術がこれを可能にしたのでしょうか?
相川:2020年からシャンプーやボディソープのつけかえ容器に採用されているドームポンプ(らくらくスイッチ)とつけかえパック(ラクラクecoパック)の技術をベースにしました。
ドームポンプのボタンを押すと、①の門が開いて外にハミガキが出る。ボタンを離すと、②の門が開いて次回分のハミガキが吸い上げられて待機する仕組みです。
ボタンを押すたびに、エアレス機構でつけかえパックが減圧状態になり、自動的にハミガキが押し上げられます。これが、最後まで無駄なく使いきれる理由です。
中身がなくなって、つけかえパックがぺったんこになったら、新しいものにつけかえるだけでOK。ドームポンプはそのまま繰り返し使えます。
——ハミガキは手に持って出すという点で、シャンプーなどとは使い方が大きく異なります。技術のベースをカスタマイズするのもたいへんだったのではないですか?
相川:これまでのつけかえ容器をそのままハミガキに使うと、出す時に手首を強く曲げなければならず、大きな負荷がかかりました。お客さまに使い続けてもらわなければ、環境対策につながらず、ポジティブなハミガキ習慣をサポートしたいという当初の目標も叶えられません。そこでラクに使えるようにするにはどうしたらいいか、周囲にも相談しながら試作を重ねました。
最終的にたどり着いたのは、ドームポンプのノズルを90度のL字型にすること。手首に負担をかけず、親指の軽い力でラクにハミガキを出せるようになりました。今回の開発でいちばんこだわって苦労した点です。
——ハミガキは衛生商品であるという点も、シャンプーなどとは違いますね。
相川:逆さまに置けるように「耳」をつけたので、つけかえのときにドームポンプの口が洗面台などにつかず、繰り返し清潔にお使いいただけます。カチッととめられるキャップも装備され、水などの混入を防げるのも特長です。
また、タフトブラシや歯間ブラシといった小さな道具にも必要量をピンポイントでのせられるよう、ハミガキが出る穴を細くしています。
——ピュオーラ36500のつけかえ容器の開発で、相川さんが達成できたと感じていることは何でしょうか?
相川:ポジティブなハミガキ習慣をできるだけ早くお届けしたいという想いから、今回、プロジェクト発足からわずか1年で世に送り出しました。容器の設計だけに限って言えば、正味、半年。本来ならば、最低でも2年は欲しかったところです。よくここまでの短期間で完成できたなと、素直に自分で自分をほめたいです(笑)。
——短期間での開発を可能にしたのは、何だったのでしょうか?
相川:ドームポンプは、もともとあった“らくらくスイッチ”の応用。つけかえパックは、“ラクラクecoパック”をハミガキサイズに縮小したものです。社内でこれまで積み上げてきた技術をベースにできたのが大きかったです。
また、風通しのいい社風であることも大きいですね。とくに私が所属する包装技術研究所はオープンスペースになっていることもあり、活発な意見交換ができています。後ろを振り返ればシャンプーのチーム、前を見ればビオレのチーム、少し歩けば洗剤のチームというように、いつでも誰にでも、何の容器についても聞ける環境です。
いいものをつくろうと思えばいくらでもアイデアは出てきますが、短期間で完成させるには、スピーディーに決断して進めていくしかありません。「本当にこれが正解なんだろうか…」といつも悩むところでしたが、周囲に相談しながら、ひたすら実験をして、決断していくことを繰り返しました。そういった点でも、風通しのよさには大いに助けられました。
——環境対策は当然のこととして、使い勝手のよさも追究する。その容器開発にかける情熱はどこから生まれてくるのですか?
相川:私は単純にモノづくりが大好きで。お客さまに「使い続けたい」と思っていただけるようなモノをつくれるこの仕事が本当に楽しいんです。これまでもさまざまな容器を開発してきましたが、今回、今までになかったハミガキのつけかえ容器を開発できたのは、特に嬉しかったですね。
——最後に、相川さんが容器開発にあたり大切にしていることを教えてください。
相川:お客さまに喜んでいただける容器とは、手にとってみたくなる見た目の第一印象と、使っているときの使い心地のよさという第二印象、使い終わったあとにもう一度使いたくなる第三印象がそろっている容器だと思うんです。
これからもこの3つを叶えられるよう、楽しみながら容器開発を続けていきたいですね。
お客さまに「使い続けたい」と思っていただける容器開発の背景には、研究者の生活者へのやさしい目線とモノづくりへの情熱が溢れていると感じました。
ハミガキにも「つけかえ」タイプが誕生し、環境への配慮がさらに強まっています。花王はごみゼロ社会の実現をめざして、これからも「もったいないを、ほっとけない。」を推進していきます。
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