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花王は、誰もが仕事と家庭を両立できる社会を実現するために、「家族でシェアするラク家事」を提案する啓発活動をスタート。第一弾として、JALさんとコラボレーションし、JAL社員を対象とした「ラク家事セミナー」を開催しました。
どんな経緯から、ラク家事啓発活動を始めることになったのか。なぜ、花王の想いにJALさんが賛同してくださったのか。花王の担当者の小野と、日本航空株式会社 人財本部の望月さん・上野さんに、今回のセミナー開催にかける想いをうかがいました。本記事の最後では、JAL本社で開催されたセミナーの様子もレポートします。
<プロフィール>
小野幸治(おの・こうじ)
花王グループカスタマーマーケティング株式会社
ビジネス開発部門B2B部マネジャー
企業間コラボレーションなど、花王ブランド接点拡大に向けたビジネススキーム構築と拡大をミッションとしている。
望月祐里(もちづき・ゆり)さん
日本航空株式会社 人財本部 人財戦略部
DEI推進グループ アシスタントマネジャー
女性の健康支援、女性管理職登用推進、育児休業の取得サポートなど、女性活躍推進全般を担当。
上野 桃子(うえの・ももこ)さん
日本航空株式会社 人財本部 人財戦略部
DEI推進グループ アシスタントマネジャー
障がいのある社員の活躍推進とJALの特例子会社の主管部業務、また、LGBTQの理解促進を担当。今回はDEIを推進するなかで、花王の啓発活動に賛同し、「ラク家事セミナー」を中心となって推進。
——最初に「家族でシェアするラク家事」について教えてください。何をきっかけに、この啓発活動がスタートしたのですか?
小野:性別を問わず、社会で活躍する上で、家事・育児などの家庭生活との両立は、大きな社会課題のひとつだと感じています。
そこで、「家族みんなで家事をシェアしよう」と提案し、応援するために始めたのが、今回のラク家事啓発活動です。「家事をシェアしたら、パートナーの負担が軽減し、お互いに時間がとれるようになる」「花王の商品をとおして、家族のラク家事を応援したい」。そんな声が、私たち販売部門の社員から上がったことがきっかけです。
——単なるラク家事ではなく「家族でシェアする」のがポイントですね。啓発活動は、どのように行っていく計画ですか?
小野:セミナーなどを通じて、誰でも簡単に、楽しく家事できる便利アイテムをご紹介しながら、家族とシェアすることの大切さを伝えていきます。セミナー後は、学んだことをパートナーとシェアしていただくことで、「家庭内のコミュニケーションを深めるきっかけづくり」や「笑顔で子育てできる環境づくり」に役立てたら、うれしいですね。
——今回のJALさんとの「ラク家事セミナー」が、その第一弾なのですね。
小野:はい。JALさんが取り組んでいる「次世代育成支援」に共感し、コラボレーションできたらと思い、ご提案させていただきました。
今回のJALさんとの「ラク家事セミナー」は、花王にとっても新しい試みの第一歩です。ブラッシュアップを重ね、今後は他の企業様にも広く賛同していただけるように努めていきたいですね。
私たちの活動が、「誰もが仕事と家庭を両立できる社会」の実現に少しでも寄与できればと願っています。
——JALさんで取り組んでいる「次世代育成支援」について教えてください。
望月さん:JALの次世代育成支援は、社員の「仕事と家庭の両立」のための取り組みです。誰もが制約があっても働き続けられるよう、時短勤務、テレワーク、コアタイムのないスーパーフレックスといった制度を整えることに、以前から注力してきました。
一方で、制度は導入するだけでなく、利用されることも大切だと考えますので、現在は、制度を利用しやすい風土づくりにも力を注いでいます。「制度」と「風土」の両輪が大切です。
——制度を利用してもらうための風土づくりとは?
望月さん:たとえば、JALでは男性社員の育休取得率100%をめざしているのですが、外部サービスを導入し、定期的にオンラインのプレパパセミナーを開催しています。セミナーでは「産後の女性の負担」や「育休を取って出産後のパートナーをサポートすることが、その後の夫婦関係においてもいかに大切か」などを伝え、育休取得を後押ししています。
また、管理職向けのセミナーも開催し、育休申請を受ける側である管理職の理解を促すことで、制度を利用しやすい職場づくりをめざしています。
——現時点で、JALさんの男性社員の育休取得率は?
望月さん:努力の甲斐あって、男性育休取得率は着実に増えており、昨年は87.2%を達成しました。育休を取得した男性社員からは、「妻の苦労を知り、これまで以上に家庭とのバランスを考えて仕事をしたいと思うようになった」「生まれた子だけでなく、上の子との時間も増え、家族全体の絆が深まった」といった声が多く聞かれます。企業として、社員と、社員の家族の幸せをめざしているので、こうした声を聞けるのはうれしいですね。男性の育休取得が広まることで、結果として世の中の女性の活躍支援にもつながると考えています。
——今回の「家族でシェアするラク家事」に、なぜ賛同してくださったのですか?
上野さん:花王さんの「性別にかかわらず、家族で家事をシェアする社会をめざしたい」という想いと、JALの「性別にかかわらず、誰もが仕事と家庭を両立しながら活躍でき、社会に貢献できる会社をめざしたい」という想いがマッチングしたことが大きな理由です。
また、個人的な経験ですが、私自身も13歳と7歳の子どもを持つ母親として、過去に仕事と家庭の両立に悩んだことがあります。幼い子どもたちと一緒に過ごす時間を捻出するために、家事の時短や効率化には苦労をしました。そんなこともあって、今回、花王さんとの「ラク家事セミナー」に関わりたいと、自ら担当を引き受けました。
——13年前や7年前は、会社の雰囲気や考え方も違ったのでは?
上野さん:まさにそのとおりで、当時もさまざまな制度はあったけれど、特に13年前は今のように制度の利用を促進する活動もなく、理解してもらえるような風土もほぼなかったので、仕事と家庭の両立は孤独な闘いでした。
そういった経験もあり、今回、花王さんが提案なさる「家族でシェアするラク家事」を、JAL社員に広く知ってもらい、少しでも家事の時短や効率化につながるヒントになれば良いなと考えました。また、「仕事と家庭の両立を、会社も応援している」というメッセージを届けたい想いもあります。
——「ラク家事セミナー」では、JALさんとしてどんなことをめざしていますか?
上野さん:セミナーの冒頭、男性社員に育休の体験談を発表してもらいます。参加者には、その体験談をとおして、「同じ会社で働く仲間も、仕事と家庭の両立に日々向き合っている」ということを身近に感じてもらいたいです。
JALでは、「お子さまが生き生きと輝く未来をつくる」ことにも寄与したいと考えています。そのためにも、社員には家庭で子どもたちと関わる時間を増やしてほしい。私たちにとって今回の「ラク家事セミナー」は、そんな未来への取り組みに向けた第一歩でもあります。
花王さんから、「家族みんなで簡単に、時短家事をするポイント」を学ばせていただくことも、とても楽しみにしています。
2023年11月某日にJAL本社で行われた「ラク家事セミナー」には、「育休予定」「育休中」「育休明け」のJAL社員が、男女合わせて30名参加されました。
第1部では、育休を取得したJAL男性社員が体験談を発表。第2部では、花王の講師がラク家事のコツをご紹介しました。
【第1部】男性社員の育休体験談(JALさん)
育休の体験談を話してくださったのは、人財戦略部グローバル推進室の北谷圭太郎さん。パートナーとお子さんが里帰り先から戻ってきてからの3カ月間、育休を取得なさったそうです。
「夫婦で役割分担を話し合い、私はおもに、子どもと遊ぶことと、掃除、買い物、ゴミ捨てを担当。育休を取ったことで、生まれてまもないわが子とたっぷり接することができたのと、家事の大変さに気づくことができたのは大きな収穫です」
「育児・家事への参画をとおして、外に出て働けることのありがたさを感じるようになり、仕事へのモチベーションが高まったのは意外な発見でした。パートナーとは意見の相違もありましたが、ぶつかりながらも二人の形をつくっていくことができ、絆が深まった気がしています」
【第二部】家族でシェアするラク家事セミナー(花王)
花王からは、セミナー担当が講師として登壇。誰でも簡単にできて時短になる、ラク家事のコツをご紹介しました。
「ポイントは、泡。きめ細かな泡は少ない洗剤量で洗えて環境にやさしい上、洗浄力が高いんです。ストローマグや水筒など、スポンジでは洗いにくいものも、泡をシュッとスプレーして流すだけで、OK。 浴室やトイレも、泡をスプレーして流すだけ*できれいになりますよ」
*商品により、放置時間が異なります。
参加者には、ラク家事におすすめのアイテムをお持ち帰りいただきました。
最後に、小野が参加されたJAL社員のみなさんへ想いを語りました。
「セミナー内容を、ぜひご家族にもシェアしてください。役割分担について話し合うなど、コミュニケーションのきっかけにしていただけたらと思います。時短につながるラク家事が、1日10分でも、家族とふれあう時間を増やすことにつながれば、うれしいです」
「社員とその家族がもっと輝けるように」という強い想いで、より良い環境づくりに向き合われているJALさんのお二人の凛とした姿がとても印象的でした。
私自身(育休明け)も、取材を通じて改めて「家族との時間」について考えるきっかけになりました。「家族でシェアするラク家事」が少しでも広まりますように。