「理想の寝姿勢」に
正解はない!実は大切な
寝返りと寝具選び

「理想の寝姿勢」に正解はない!実は大切な寝返りと寝具選び。快適に眠れる姿勢を探すことと寝返りがカギであること、寝返りが大切な3つの理由、マットレス・枕・補助アイテムの選び方までを1枚にまとめた記事全体の要約イラスト

寝姿勢の正解は?
理想の考え方

第1章 寝姿勢の正解は?理想の考え方。寝姿勢は人それぞれで日々の疲れ具合でも変わるため快適に眠れる姿勢を探ることがポイントであることと、腰の違和感・いびきや呼吸のしづらさ・うつぶせをやめたい場合という悩み別の寝姿勢をまとめた図解

「朝起きたとき、腰や首がなんとなくだるい…」「十分眠ったはずなのに、疲れがリセットされていない気がする…」そんな経験はないでしょうか?その原因のひとつとして、「寝姿勢」が関係しているかもしれません。

腰や首がなんとなくだるい、疲れがリセットされていないと感じてベッドに腰かけている女性のイラスト

 万人に共通する
  「理想の寝姿勢」はない!?

「仰向けで寝るべき」「横向きは骨格に負担がかかる」——寝姿勢についての情報を調べると、こうしたさまざまな意見に出会います。しかし、ひとつの寝姿勢を全員に当てはめるのは、実はあまり現実的ではありません。

人の体型・骨格・筋肉量・既往歴はそれぞれ異なり快適と感じる寝姿勢もひとりひとり違うことを示した図解

同じ人でも日々の体調によって楽な姿勢は変化することを、仰向け寝・横向き寝・うつぶせ寝の比較とあわせて示した図解

一つの姿勢を「これが正解」と決め込んで無理に続けると、かえって体に負担をかけてしまうこともあります。

GA column 睡眠を科学する研究コラム

普段、眠っているときの姿勢を意識したことはあるでしょうか。
花王の観察研究によると、実は、約7割の人は毎晩ほぼ同じ姿勢パターンで眠っていることが分かっています。
また、横向きで眠る時間が長い人ほど、歩行時の体のゆがみに偏りが見られる傾向も確認されています。
これらの結果は、日中の姿勢と睡眠中の姿勢には、何らかの関連がある可能性も考えられます。普段の姿勢を見直すきっかけとして、寝姿勢にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

寝姿勢と歩行中の姿勢(身体のゆがみ)の関係を調べた花王の観察研究を表す図

また、研究の中で、横向き睡眠そのものよりも、左右どちらかに偏った寝方をしている場合に、体をリラックスさせる働き(副交感神経のはたらき)が低下している傾向が見られました。

花王の観察研究による寝姿勢とリラックス状態の関係。左右が極端な横向き寝の人は、左右差の小さい横向き寝の人や仰向けが多い人に比べてリラックス状態の指標が低いことを示した棒グラフ

こうした結果から、寝姿勢は単独で考えるものではなく、日中の姿勢や身体状態ともつながっている可能性が示唆されます。睡眠環境を整える際には、寝具や寝姿勢だけでなく、日頃の姿勢習慣にも目を向けてみることが大切かもしれません。

出典:第22回日本疲労学会学術集会にて発表
花王株式会社にて、 30~59歳の男女を対象に
2024年11~12月に実施した観察研究のデータを解析。

花王 | “寝姿勢”に着目した睡眠研究
睡眠の質や日中の姿勢と、
睡眠中の姿勢のクセが関連する可能性

良い姿勢、悪い姿勢と
そのしくみとは?

姿勢と動きを
整えるためのヒント

 悩みごとに
 適切な寝姿勢は変わる 

寝姿勢を見直す際は、自分の体や習慣に合わせて寝姿勢を選ぶという考え方が有効です。

腰の違和感を感じている場合の寝姿勢。仰向けなら膝下にクッションを入れて膝を少し曲げ、横向きなら腰(ウエスト部分)の下にタオルやクッションを入れて体のカーブを補うことを示した図解

いびきや呼吸のしづらさを感じている場合は気道を確保しやすい横向き寝が向いていること、首や肩の違和感が気になる場合は首の角度や支え方が影響するため枕の高さや硬さとのバランスが重要なことを示した図解

うつ伏せ寝が習慣になっている人も少なくありませんが、呼吸のために顔を横に向けた状態が続くことで首がねじれやすく、首や肩の違和感につながりやすい姿勢です。また背骨の曲線が平らになるため、腰への負担にも注意が必要です。
一方で「お腹が温まって落ち着く」「寝つきがよい」と感じる人もいるため、一概に悪い姿勢とは言い切れません。

うつ伏せ寝をやめたい場合の方法。抱き枕を活用した半うつ伏せを経て、少しずつ横向き寝へ移行していく流れを示した図解

「万人向けの理想姿勢」を探すのではなく、自分の体型や生活習慣、気になることに合わせて、快適に眠れる姿勢を探ることが大切です。

 重要なのは
「姿勢を固定すること」ではない

もうひとつ、大切な視点があります。「姿勢を固定しようとすること自体が、必ずしもよいわけではない」ということ。
人は睡眠中、無意識のうちに体を動かしています。一晩中まったく同じ姿勢でいるなんて、実はほぼ不可能に近く、長時間同じ姿勢でいると特定の部位に圧力が集中し、血流や筋肉にも影響が。
姿勢を意識的に固定しようとすると、この自然な体の動きを逆に妨げてしまうことにもなります。
特定の姿勢にこだわりすぎず、自然に寝返りが打てる環境を整えることも、快適な睡眠を考えるうえで大切なポイントです。

眠っている間は大の字や体を丸めた姿勢など無意識に体が動いていることを描き、大切なのは負担の少ない姿勢をベースにしながら体が自由に動ける状態をつくることだと示したイラスト

寝姿勢による不調改善には
寝返りのしやすさが鍵

第2章 寝姿勢による不調改善には寝返りのしやすさが鍵。寝返りが大切な理由(体圧分散・血流を保つ・体温と湿度の調整)と、寝返りが少なすぎると腰や背中の一部に負担が集中し血流が滞って熟睡できないこと、寝返りを妨げる要因(寝具選び・環境・年齢)をまとめた図解

「理想の寝姿勢」を固定しようとするより、むしろ大切なのが「寝返りを打ちやすい状態にすること」。寝返りは、睡眠中に自然に行われる体の動きのひとつです。

寝返りが大切な3つの理由を示した図解。①体圧分散で同じ部位への負担の集中を防ぐ、②血流を保ち同じ部位の血液循環が滞るのを防ぐ、③体温・湿度を調整し布団にこもった熱や湿気を移動させる、をそれぞれ同じ姿勢が続いた場合と比較して示している

一晩の寝返り回数の目安は15~40回程度といわれています。
スムーズに寝返りが打てているとき=睡眠中に体が自然に動けているサインのひとつ。快適な睡眠を支える大切な役割を担っています。

寝返りが少ないと
体にはどんな影響が?

では、寝返りが少ないとどうなるのでしょうか。
同じ姿勢が続くと、腰や背中の一部に負担が集中しやすくなります。また、体を動かす機会が少なくなることで、首や肩の違和感につながる場合もあります。血液循環が滞った状態が朝まで続くと、起床時の倦怠感や体の重さとして残ることも。睡眠時間の長さとは別に、「体が自然に動けているか」も睡眠中の質と快適さを考えるうえでのポイントといえます。

十分眠ったはずなのに疲れが取れていない、朝起きると腰に違和感があるという状態の背景には、寝返りがうまく打てていない可能性があることを示したイラスト

寝返りを妨げないためには
寝具選びも重要

寝返りは、眠りながら無意識に行われるもの。意識してコントロールすることはできません。だからこそ、体が自然に動きやすい「環境」を整えることが重要になります。
まず寝具が大きな要因のひとつ。

寝返りを邪魔する寝具の例。柔らかすぎるマットレスや枕は体が深く沈み込んで寝返りに大きな力が必要になり、枕の高さや形状が合わないと首や肩の動きが制限され、掛け布団が重すぎると体が押さえつけられて寝返りしにくくなることを示した図解

一方、寝具以外にも見落としがちなポイントがあります。

寝返りを妨げる寝具以外の要因。加齢による筋力・可動域の低下で寝返りの回数が減ることがあること、室温が低すぎると体が縮こまり寝返りが減りやすくなることを示した図解

こうした環境要因にも目を向けることで、「自分の寝返りが少ない理由」に気づくヒントが見つかるかもしれません。

寝返りしやすい
寝具の選び方

第3章 寝返りしやすい寝具の選び方。マットレス・ベッド編は体が自然に動きやすいと感じられる反発力かどうか、枕編は仰向け・横向きどちらの姿勢でも首を自然に支えられること、補助アイテム編は自然な姿勢を保ちやすく動きを妨げないサイズ・形状であること、さらに寝る前のストレッチもあわせてまとめた図解

寝姿勢や寝返りを見直す際に大切なのは、寝返りを妨げない環境づくり。ここでは、寝具の種類ごとに選び方のポイントをご紹介します。

寝返りしやすい寝具選びのポイント マットレス・ベッド編

マットレス選びでは、反発力(硬さのバランス)が重要なポイント。柔らかすぎると腰など重い部分が沈み込みすぎ、寝返りの際に体を動かしにくく感じることに。逆に硬すぎると肩やお尻など出っ張った部分に圧力が集中し、接触部分に圧力が集中しやすくなる場合があります。

マットレスの硬さの目安。仰向けのときも横向きのときも、背骨のカーブが立っているときに近い状態を維持できる硬さがよいことを示した図解

体が自然に動きやすいと感じられる反発力であれば、寝返りがしやすく体への負担も軽減できることを示した図

サイズにもポイントがあります。体の幅に余裕がないと、寝返りのたびにベッドの端に近づいてしまい、無意識に動きを抑制してしまうこともあります。その場合は、ベッドサイズの見直しも視野に入れてみてください。

寝返りを打とうとしてもスペースが足りない様子と、体の幅に余裕があり寝返りを打ちやすい様子を比べたイラスト

寝返りしやすい寝具選びのポイント 枕編

枕は「首を自然な角度で支えられるか」が大きなポイント。

枕選びのポイント。柔らかすぎると頭が深く沈み込んで首の角度が不自然になり、寝返りの際に頭を動かしにくくなること、高さが低すぎても高すぎても首や肩に余計な負担がかかることを、ちょうど良い高さとの比較で示した図解

寝返りを考えると、仰向け・横向きどちらの姿勢でも首を自然に支えられることが理想です。

横向きになった際は、首から肩までの高さ分の枕のサポートが必要になることを示した図 横向きになった際は、首から肩までの高さ分の枕のサポートが必要になることを示した図

マットレスとの組み合わせで最適な高さが変わるため、セットで考えるのがおすすめです。

寝返りしやすい寝具選びのポイント 補助アイテム編(クッション・抱き枕など)

マットレスや枕だけでなく、クッションや抱き枕を活用することで寝姿勢をより楽に整える補助になります。
抱き枕は横向きで寝るとき姿勢を安定させやすいアイテムですが、体を完全に固定するものより、自然な姿勢を保ちやすく、動きを妨げないサイズ・形状を選ぶことが大切です。

クッションや抱き枕の使い方。横向き寝では腰(ウエスト部分)の下に高さ10センチメートル程度のタオルやクッションを入れて体のカーブを補い、仰向け寝では膝下にクッションを入れて腰の反りを和らげることを示した図解

寝る前のストレッチで、
寝返りを妨げないための
体づくりを

寝具を整えることに加えて、寝る前の軽いストレッチも寝返りのしやすさに関わるひとつの選択肢です。日中の活動で緊張したままの筋肉をほぐさずに眠ると体がこわばった状態になり、スムーズな寝返りが打ちにくくなることがあります。

寝る前のストレッチの効果。就寝前に体をゆっくりほぐすと副交感神経が優位になりやすく、入眠しやすくなり、眠りが深くなりやすいという流れを示した図解

激しい運動は逆効果ですが、ゆったりとした動きであれば、眠りへの準備としても体をほぐす習慣としても一石二鳥の方法です。

今回の記事まとめ睡眠の環境と
習慣を見直しながら、
心地よい寝姿勢へ整えよう。

第4章 睡眠の環境と習慣を見直しながら、心地よい寝姿勢へ整えよう。体型・生活習慣・体調によって理想の寝姿勢は人それぞれで、大切なのは体が自由に動ける状態をつくること、そのカギは睡眠環境と日中の姿勢・生活習慣の両面から寝返りを整えることだとまとめた図解

「理想の寝姿勢」は万人に共通する正解があるわけではなく、体型や生活習慣、日々の体調によっても変わります。大切なのは、一つの姿勢に固執するのではなく、自分の体が自由に動ける状態をつくること。
そのカギを握るのが「寝返り」です。体圧の偏りを和らげたり、同じ姿勢が続くことを防いだりする寝返りは、快適な睡眠環境を考えるうえで大切な役割を担っていると考えられています。
花王の研究が示すように、寝姿勢は日中の姿勢とも関連が見られており、睡眠と日常生活は切り離せません。
「なんとなく眠れている」から「気持ちよく眠れている」へ。今の睡眠環境や習慣を、一度見直してみてはいかがでしょうか。

仰向けから横向きへと自然に寝返りを打ちながら眠っている様子を、4つの寝姿勢の循環で描いたイラスト

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