2023年12月5日
節約アドバイザー和田由貴さんに聞く
シェアする
ガソリンや電気・ガス、食品などの相次ぐ値上がりや、猛暑による電力需給のひっ迫の懸念など、家計に危機感を持つ生活者は増えています。そうした状況を乗り切るために私たちができることとは?節約アドバイザーで、家電製品アドバイザーでもある和田由貴さんに、節電対策や、暮らしを守るための家計の考え方・節約術についてうかがいました。
INDEX
電気代の高騰に加えて、電力需給のひっ迫が懸念される夏は、いかに節電するかが重要課題です。そして、節電対策と共に行いたいのが、「停電への備え」。停電は、電力需給ひっ迫注意報・警報の有無に関わらず、突然起きる可能性があるからです。
停電して特に困るものといえば、冷蔵庫やエアコンです。
冷蔵庫の場合、冷凍室に余裕があれば、ペットボトルに水を入れて凍らせておきましょう。
停電になったとき、氷を冷蔵庫に移せば、庫内の温度が上がりにくくなります。また、大きな氷があれば、エアコンが停止したときの暑さ対策にも役立ちます。
停電を回避する視点に立てば、電気をたくさん使用する時間帯を意識することも大切です。
夏の電力消費のピークは14時ごろですが、家庭での電力消費が多くなりやすいのは夕方以降。多くの人が帰宅し、夕食をとる17時~20時です。
家庭では特に17時~20時の節電を心掛けることが重要です。
具体的には、以下のようなことで節電できます。
電気料金や自宅の電気の使い方を見直すためには、どのような契約なのかをきちんと把握することが大切です。「深夜電力は安い」と思い込んでいる人も多いようですが、時間ごとに電気料金が変わるプランを契約していなければ、そうはなりません。
契約プランは、電力会社のサイトから確認することができます。現在は、ほとんどの電力会社が、30分ごとに電気使用量を計測するスマートメーターを導入しているので、リアルタイムで電気の使用量を確認することもできます。自分の契約プランと電気の使用状況を確認した上で、よりライフスタイルにあったプランがあれば、変更も検討してみてください。
現在、最新技術でエネルギーを制御し、電力の需給バランスを調整する「デマンドレスポンス」という仕組みを取り入れている電力会社が増えています。この仕組みを利用して、「何時から何時までの節電をお願いします」という呼びかけに協力すると、ポイント還元などの恩恵を受けられるサービスを実施している電力会社もあります。
自分が契約している電力会社にそのようなサービスがあれば、是非活用すると良いでしょう。
(質問をクリックすると回答が表示されます。)
A.まず換気で室温を下げてからスイッチON
エアコンは、起動時の設定温度まで室温を下げるときに、一番電力を消費します。そのため、起動時の室温と設定温度の差をできるだけ小さくすることが、節電には効果的です。
詳しいエアコンの節電テクはこちらから
A.一般的に大きい冷蔵庫のほうが節電になる
冷蔵庫は小さいほうが電気代が安く済むと思っていませんか?大きいほうがインバーターできめ細かく出力の調整ができる上に、十分な断熱効果が得られます。
詳しい冷蔵庫の節電テクはこちらから
A.洗濯機の種類よりも、乾燥機能に差がでる
ドラム式も、縦型も、洗濯ではそれほど電力を使いません。多くの電力を消費するのは乾燥機能です。
家電の買い替えを比較検討する場合、省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん 」(外部サイトへリンク)が参考になります。
詳しい洗濯の節電テクはこちらから
A.シャットダウンよりも、モニターの輝度に注意
パソコンは長時間つけっぱなしでも、消費電力はそれほどかかりません。起動時に電力を多く消費するので、頻繁なシャットダウンは逆効果。短時間の離席であればシャットダウンではなくスリープモードを活用しましょう。
それよりも、ディスプレイの輝度に注意。
画面が明るいほど電力をたくさん消費します。
A.外から日差しを遮ったほうが節電に
遮光カーテンや、窓に直接貼る断熱フィルムなど、部屋の内側での対応も断熱効果はありますが、窓の外側が効果的!
涼しい時間帯の打ち水も気化熱で温度を下げるので有効です。
節約にしても、節電・省エネにしても、根本的な考え方は、「ムダな部分を省く」ということです。必要なのに我慢して買わない、使わないということではありません。我慢する節約は、ストレスがたまるばかりで長続きしないので、ムダな部分に目を向け、対策することが大事です。
食費の節約では、「いかに安く買うか」よりも「買ったものを使い切る」ことのほうが重要です。日本では1日に1人あたりお茶碗1杯分量の食品ロスを出していると言われています。金額にすると1家庭で年間約6万円。ムダに買わない、購入した食品を全部使い切ることができれば、食費の値上がり分をカバーできるかもしれません。
現在、光熱費や食品の値上がりが顕著です。だからといって、光熱費や食費の枠の中だけで節約して家計を守ろうとしても、無理があるし、限界があります。それよりも目を向けたいのは、保険料や通信費などの固定費です。固定費は一度節約がかなえば、それ以降は放っておいても継続的に節約できることになり、効果は絶大です。
まずは固定費から見直して、それでも足りない部分を光熱費や食費の節約で穴埋めする気持ちで取り組みましょう。
固定費で特に削りやすいのが通信費です。また、節税対策にもなる貯蓄・投資などもうまく利用するといいでしょう。節税は収入を増やすのと同じこと。例えば、iDeCoやNISAなど、常にお金の情報に敏感になることも重要です。
(質問をクリックすると回答が表示されます。)
A.MVNOなど、契約を見直す
思い切って、契約から見直してみましょう。月々5~6000円かかった通信費が、月額1000円くらいに抑えられる可能性もあります。
A.1日の予算を明確に。野菜は使い切りを意識する
1カ月の大枠の予算を決めるというよりも、1日あたりの予算を決めて、その中でおさめる意識をもちましょう。また、食品ロスを出さないように。
A.急加速・急減速を避けて。マイカー自体の見直しも
運転時、ガソリンを最も消費するのは、アクセルを踏み込むときです。急加速せず、ゆっくり減速すれば、燃料費を節約することができます。 また、マイカーを手放す、カーシェアリングに変えるなどの検討をしてみるのも手です。
A.同じ系列会社のポイントに集約すると、お得に
買い物などで貯まったポイントを積極的に活用する「ポイ活」も、ただやみくもにポイントを貯めるだけでは、うまく活用しているとは言えません。 ポイントの種類が分散していると、ポイントがなかなか貯まらず、気づいたらポイントが失効してしまうこともあります。
【監修】
和田由貴(わだゆうき)さん
消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザーなど、暮らしや家事の専門家として、幅広く活動。また、環境カウンセラー、省エネルギー普及指導員、3R推進マイスター(環境省第一期国推薦委嘱)などの資格も所持し、環境問題にも精通する。現役の主婦・母の視点からの日常生活に密着したアドバイスが支持され、講演、執筆、テレビ出演、新聞・雑誌・WEBでの連載など多方面で活躍。著書に『裏ワザ名人のちゃっかり!節約生活』『年間50万円は貯まるチリ積も節約術』『快適エコのライフスタイル』など。