2025年4月1日
物価高騰の中でもくらしに満足?
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最低賃金の引き上げや大企業による賃上げのニュースが続いている一方で、生活必需品の値上げもまた続いています。そのため、私たちの家計は一層やりくりが求められています。今回は、花王が昨年11月に実施した「家計に関する実態調査」を通じて、この厳しい状況の中での生活者の暮らしへのおもいを探ります。
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生活者の『くらしの満足度』は、2020年にコロナ禍による一時的な落ち込みがあったものの、2021年には59%(「かなり満足」「やや満足」の合計)に回復。2022年には世界情勢の悪化に伴う生活必需品の値上がりやインフレの影響で41%まで低下しました。
その後、2023年には55%に回復し、その水準を維持しています。過去には、消費税の引き上げや、新型コロナの流行などにより満足度が低下したこともありましたが、長引く物価高騰の厳しい状況の中で、なぜ今、くらしの満足度は回復してきているのでしょうか?
『家計の引き締め意識』は、2024年では57%が引き締めており(「かなり引き締めている」「やや引き締めている」の合計)、2022年、2023年に引き続き、依然として高い水準を維持しています。
一方で、『家計のやりくり意識』では、苦しい(「かなり苦しい」「やや苦しい」の合計)と感じている割合は、2022年から2024年にかけて年々減少しています。
また、『家計の負担が増えていると感じる支出』は、食料品(71%)、光熱費(52%)と依然高いものの、2022年に比べると多くの項目において減少が見られます。商品やサービスの値上げが一巡したことで、値上がりした価格に慣れた結果、引き締め意識は高いものの、その状況に適応せざるを得ず、その中でやりくりを行っている様子が見受けられます。
2024年の『減らしたい支出』のトップは食料品(44%)。次いで光熱費(43%)、水道代(23%)、日用品(18%)、通信費(18%)となっており、いずれも生活に必要な支出が挙がっています。一方で、『増やしたい支出』については、特にない(46%)が半数近くを占めていますが、具体的に増やしたい支出として旅行・レジャー(27%)が最も高く、貯蓄・投資(17%)、外食(14%)、食料品(13%)、教育(7%)と続き、楽しみやくらしを豊かにするための支出が上位を占めています。
必要経費を抑え、旅行やレジャーなどの心の充実につながる体験や、教育費など将来への投資にかける支出に回したいというおもいがうかがえます。
物価高騰はすべての世代に影響を与えていますが、特に教育費や生活費などの出費がかさむ子育て世代は、どのようにやりくりをしているのでしょうか。この世代のやりくり術を聞いてみると、安いスーパーをハシゴしたり、Webチラシやアプリを活用したり、クーポンやポイントを上手に利用するなど、夫婦で協力しながら食費を抑える買い物をし、日々の節約に取り組んでいました。その一方で、今必要なものだけを購入し、必需品のストックを控えるなど、出費を抑える工夫も行っています。
こうした引き締めの中で、家族や自分の「心の充実につながる体験の支出」や、さらには子どもの学費や自分への投資といった「将来を見据えた支出」を大切にしたいというおもいが見えてきました。
子どもにも思い出が必要。娘が懐いてくれる間はいっぱい遊びたい。費用を抑えながらも旅行には行きたい。(30代女性、会社員)
外食は家族で一緒にいる時間。顔を見て話をしながら食事をすることで平日のストレスの解消になっている。なくなるとストレスがたまるだろうから、減らしたくない。(30代男性、会社員)
毎年恒例の家族で行くフェスはチケット代が高くても削らないようにしている。家族で休日が合わないから、みんなで出かけられる時間は大切。心に楽しい目標がないと、この物価高の中で生きていけない。(30代女性、会社員)
推し活しているグループのライブは、なにがなんでも調整して行く。私にとっては無くせない。夫も理解があり協力的でありがたい。(30代女性、会社員)
自分が働いた分は子どもの学費のために貯めておきたい。上の子の学資保険も入っているが、この先わからないので使わないでおこうと思う。(40代女性、パート)
パートでは収入がなかなか増えないので、正社員として働ける会社へ転職。収入が増えたらNISAを始めたい。今の学費無償化制度がいつまで続くかは信用ならないので、制度に頼らずに子どもの学費は自分たちで貯めたい。(40代女性、会社員)
子どもには栄養バランスを考えてしっかり食べさせたいので削れない。スーパーの半額商品や割引されているもの、クーポン利用など店舗を見て回る。(40代女性、会社員)
子どものためにも、いつまでも若くてきれいなお母さんでいたいから、美容にもお金をかけたい。(30代女性、会社員)
多くの人がやりたいことをすべて実現するのは難しいと感じ、経済的な不安を抱えている現状があります。しかし、やりくりや工夫を重ねることで、厳しい家計の中でも日々の生活を維持し、ささやかな楽しみを実現しつつ、将来の備えにも目を向けています。このような取り組みが、くらしの満足度を維持し、「何とか生活を続けられる」という安心感につながっている様子がうかがえます。
欲を言うと、もっと収入があると心の余裕が出ると思うが、お金をかけずに出かける工夫もしたりして楽しんでいる。苦しいばかりではない。(40代女性、会社員)
今の生活が満足とまではいかないが、自転車操業でなんとか回せているので、なんとなく大丈夫かな。(40代女性、パート)
私たちの家計を取り巻く環境は、厳しい状況が続いています。この中で、支出の優先順位をしっかり考え、生活の質を保つことが、くらしの満足度につながっています。
子育て世代に限らず、節約を単なる我慢ではなく、生活や心を豊かにするための賢いお金の使い方として捉えることが重要です。単に苦しい状況を乗り越えるだけでなく、楽しみや心の充実、教育、自己投資といった大切にしたい目標を持ち、必要なところにはお金を使い、無駄を省くメリハリが、厳しい状況でも満足度を保つためのカギとなりそうです。
また、節約だけでなく、働き方や資産運用を見直すことで収入を増やそうとする動きも増えてきています。今の生活の楽しみと将来の備えを両立させながら、バランスよくやりくりの工夫を重ねていきたいですね。
【調査概要】
「生活者の意識と行動に関する調査」
◎2019年9月・2020年11月・2021年10月・2022年11月・2023年12月・2024年11月/インターネット調査/首都圏在住20~60代既婚女性/各500人
「家計のやりくりに関する調査」
◎2024年12月/オンラインインタビュー調査/30~40代既婚男女/5人