無理をしない人付き合い
10年で変化した家族・人との距離感

家族の仲は良好。協力し合う関係が定着

「現在の生活に満足していますか」との問いに「そう思う」「ややそう思う」と答えた人の割合は、10年間でほぼ横ばい。既婚男性、既婚女性とも6割台を保っています。家族とのコミュニケーションについては、男女とも約8割は良好と考えています。比較すると女性の方が男性より年代を問わず割合がやや高い傾向が見られました。

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    「家族とのコミュニケーションは良好である」の問いに「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と答えた人の合計

現在の生活に満足している 2014年~2024年推移グラフ 首都圏在住20~60代既婚男女(花王コンシューマーインテリジェンス室調べ) そう思う、ややそう思うの合計 既婚女性、既婚男性それぞれ 14年 67%、60% 16年 69%、63% 18年 69%、62% 20年 66%、64% 22年 66%、63% 24年 68%、64%

家族とのコミュニケーションは良好である 2014年~2024年推移グラフ 同居家族がいる首都圏在住20~60代既婚男女(花王コンシューマーインテリジェンス室調べ) あてはまる、どちらかといえばあてはまるの合計 既婚女性、既婚男性それぞれ 14年 82%、75% 16年 83%、82% 18年 81%、79% 20年 83%、78% 22年 84%、84% 24年 84%、82%

「家事の分担をしている」「子育ての方針を夫婦で話し合う」といった項目は、男女ともに右肩上がりで10年前より10%以上スコアが伸びています。「ワンオペ」という言葉も生まれましたが、女性1人に偏りがちだった家事や育児も家族でシェアすることが定着してきました。特に今の40代以下は男性も中学・高校で家庭科を学んでいる世代。共同で家庭運営をしていくという考え方が当たり前になってきたと思われます。家族仲が良好な背景の1つには、男性の家事・育児への参加や協力する姿勢の変化があると考えられます。

家事・育児に関する意識変化の図表 あてはまる、どちらかといえばあてはまるの合計 2014年と2024年の比較 (花王コンシューマーインテリジェンス室調べ) 家事の負担を減らすため、できるだけ家族で分担している 首都圏在住20~60代既婚男女 2014年、2024年、10年の差 それぞれ 男性 60%、70%、+10 女性 40%、51%、+11 子育ての方針は夫/妻と十分に話し合っている 高校生以下の子どもがいる首都圏在住20~60代既婚男女 2014年771人、2024年768人 2014年、2024年、10年の差 それぞれ 男性 56%、73%、+17 女性 58%、68%、+10

家事・育児に関する意識変化の図表 あてはまる、どちらかといえばあてはまるの合計 2014年と2024年の比較 (花王コンシューマーインテリジェンス室調べ) 家事の負担を減らすため、できるだけ家族で分担している 首都圏在住20~60代既婚男女 2014年、2024年、10年の差 それぞれ 男性 60%、70%、+10 女性 40%、51%、+11 子育ての方針は夫/妻と十分に話し合っている 高校生以下の子どもがいる首都圏在住20~60代既婚男女 2014年771人、2024年768人 2014年、2024年、10年の差 それぞれ 男性 56%、73%、+17 女性 58%、68%、+10

家事・育児に関する意識変化の図表 あてはまる、どちらかといえばあてはまるの合計 2014年と2024年の比較 (花王コンシューマーインテリジェンス室調べ) 家事の負担を減らすため、できるだけ家族で分担している 首都圏在住20~60代既婚男女 2014年、2024年、10年の差 それぞれ 男性 60%、70%、+10 女性 40%、51%、+11 子育ての方針は夫/妻と十分に話し合っている 高校生以下の子どもがいる首都圏在住20~60代既婚男女 2014年771人、2024年768人 2014年、2024年、10年の差 それぞれ 男性 56%、73%、+17 女性 58%、68%、+10

仲良しでも干渉しない自分ファーストな家族像

「家族のコミュニケーションは良好である」と同様に「家族との時間は大切だ」と考える割合も男女ともに86%(2024年)と高い結果でした。

一方で、「お互い干渉しない家族がいい」と答える割合は、男性で53%(2014年)から71%(2024年)、女性で59%から74%と大きく伸びています。「家族も大切だが自分のことを優先させたい」と考える割合は、女性が10年間で15%アップし60%になり、家族を優先しがちだった時代から意識が大きく変わってきていることがわかります。

結婚・出産後も働き続ける女性は、年々増え続けています。家族も「やってもらう」のではなく「自分でできることは自分でする」と自立・協力するようになり、加えて女性の「自分のことにも時間を使いたい」との思いが、家族との適正な距離を求めることにつながっているのではないでしょうか。

お互い干渉しない家族がいい 2014年~2024年推移グラフ 首都圏在住20~60代既婚男女(花王コンシューマーインテリジェンス室調べ) そう思う、ややそう思うの合計 既婚女性、既婚男性それぞれ 14年 59%、53% 16年 63%、59% 18年 69%、62% 20年 67%、67% 22年 74%、70% 24年 74%、71%

家族のことも大切だが、その前にまず自分のことを優先的に考えたい 2014年~2024年推移グラフ 首都圏在住20~60代既婚男女(花王コンシューマーインテリジェンス室調べ) あてはまる、どちらかといえばあてはまるの合計 既婚女性、既婚男性それぞれ 14年 45%、39% 16年 46%、43% 18年 55%、50% 20年 53%、52% 22年 58%、50% 24年 60%、51%

「心地よい生活」ってどんなこと?

家族それぞれの個性を尊重し合える生活(既婚女性20代)

家族が空気のような存在で、一緒に過ごしていても、家の中で別々に過ごしていても居心地がよいこと(既婚女性40代)

家族それぞれが、ストレスがたまらない程度の自分の時間を持ち、健康で、自立している(既婚女性60代)

束縛や制約がなく、家族の仲は良いが、あまり干渉しない生活(既婚男性60代)

無理をしない人付き合いを探る

家族との距離感をはかるのと同じように、人との付き合い方にも変化が見えます。特に女性で「人付き合いはわずらわしい」と感じる人の割合が増加し、「人とのつながりを積極的に持ちたいと思っている」割合は大きく減少しました。

コロナ禍では人との接触が制限されて、人付き合いにも大きな影響がありました。無理して付き合っていた人とは疎遠になるなど、人との関係を見直すきっかけになったという声もありました。またフルタイムで働く人が増えたからか、時間に余裕がなくちょっとしたおしゃべりの付き合いが減ったり、SNSでの情報過多が人付き合いのストレスや気疲れを増幅させたりしているのかもしれません。

一方で、協調性を大切にする意識は、変わらず高いままです。直接会う機会は減っても、SNSやオンラインツールといった、時間や場所を選ばずに人とつながる手段が増えました。そうした環境の変化が、互いに無理をしない関係性を保つ助けになっているのかもしれません。手段は変われど、人とうまくやっていくために協調することは、廃れない価値観なのではないでしょうか。

人付き合いに関する意識変化の図表 2014年と2024年の比較 首都圏在住20~60代既婚男女 (花王コンシューマーインテリジェンス室調べ) 人付き合いはわずらわしい そう思う、ややそう思うの合計 2014年、2024年、10年の差 それぞれ 男性 7%、62%、+4 女性 7%、65%、+8 人とのつながりを積極的に持ちたいと思っている あてはまる、どちらかといえばあてはまるの合計 2014年、2024年、10年の差 それぞれ 男性 53%、52%、-1 女性 61%、45%、-16

日頃から頻繁におしゃべりをする友人・グループがある(既婚女性)の図表 2014年と2024年の比較 首都圏在住20~60代既婚女性 (花王コンシューマーインテリジェンス室調べ) あてはまる、どちらかといえばあてはまるの合計 2014年 62%、2024年 46%

LINEやSNSをするのが面倒に思ったり、ストレスに感じることがある(既婚女性)の図表 2014年と2024年の比較 首都圏在住20~60代既婚女性 (花王コンシューマーインテリジェンス室調べ) あてはまる、ややあてはまるの合計  2014年 45%、2024年 58%

世の中うまくやっていくためには競争より協調が大切だ(既婚女性)の図表2014年と2024年の比較  首都圏在住20~60代既婚女性 (花王コンシューマーインテリジェンス室調べ) そうおもう、ややそう思うの合計 2014年 87%、2024年 87%

まとめ

今回は人との付き合い方についてクローズアップしましたが、この10年間に「無理をしない」という大きな流れができたように思います。家族も大切だけどまず自分のことを優先的に考えたい家族関係や、気疲れしない人付き合いを求める「自分ファースト」な価値観。自分を尊重し大切にするようになった背景には、「男だから」「女だから」というジェンダーが背負ってきた役割が薄れてきたことが考えられます。肩の力を抜いて、自分らしく無理をしない。最近ブームの「推し活」も、その流れの一つです。自分らしさを肯定し、ジェンダーや年齢に関係なく、自分の好きな趣味をより積極的に楽しむ人が増えました。

今は家族や人とのつながりは、「深さや広さ」よりもお互いの「心地よさ」が重視される時代。自分も相手も無理せずに、近すぎず遠すぎない距離感をとっている。それを探ることが、これからのこころ豊かな暮らしにつながっていくのかもしれません。あなたにとって「ちょうどいい距離感」とはなんでしょうか。一緒に考えてみませんか。

【調査概要】

「生活者の暮らしに関わる意識と行動調査」
◎2014年、2016年、2018年、2020年、2022年、2024年(各年9月)/インターネット調査/首都圏在住20~60代既婚男女/2014年1,796人、2016年1,821人、2018年1,910人、2020年1,892人、2022年1,811人、2024年1,811人

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