シェアする
このたび、「わたしとハミング」をテーマに、
My Kao会員のみなさまからたくさんの思い出や心あたたまるお話をお寄せいただきました。
香りや手ざわりの奥にある、
忘れたくない気持ちや記憶――
それぞれの暮らしのなかに息づく、あたたかなエピソードが集まりました。その中から、いくつかの素敵なエッセイをご紹介します。
としさん 50代 埼玉県
ハミングは私の「おひさまのにおい」です。随分昔ですが、母が干したばかりの洗濯物を幼い頃から「おひさまのにおい」と呼んでいました。取り込んだシーツに顔をうずめると、ぽかぽかとした温もりと、どこか甘くてやさしい香りがしました。あの香りが好きで、洗濯物を取り込むお手伝いだけはやっていた気がします。
結婚して、家族が増えて、暮らしのなかで洗濯は「誰かがやらなきゃいけないこと」になりました。ある時期から柔軟剤をハミングに変えてみたら、どこか懐かしい香りがふわりと部屋に広がった。あれ、これ…実家のにおい? 思わず笑ってしまった。シーツをたたみながら、昔に母がしていた動作を思い出す。端をぴしっとそろえて、最後に軽く手のひらで押していた様な。そんな小さな所作にも、ぬくもりがあったのだと気づく。
洗濯物が揺れるベランダの下で、今日も空は高くて青い。こんな日には、お気に入りのおひさまの香りがある暮らしがちょっとだけ、好きになります。
あたたかな記憶に包まれるような素敵な一篇を、ありがとうございました。「おひさまのにおい」と呼んでいた幼少期の思い出が、今の暮らしの中でふとよみがえる。その情景に、私たちの心もほっとあたたかくなりました。
はこねさん 30代 東京都
洗濯の時は柔軟剤を欠かさずに使う91歳の祖母。
お気に入りは「ハミングフレア」だ。
歳を重ねるに連れて視力は弱くなっていたが、ピンクの花柄のボトルとしっかり覚えていた。
昨年夏に癌の宣告を受け、初の長期入院をした。
病院へはお気に入りの香りをしっかり効かせたタオルや衣類を毎回持って行った。限られた面会時間、不安や寂しさも打ち消すように、いつものハミングの香りに祖母も私も癒されていた。
パジャマや靴下、シーツなど全てハミングで洗濯し、フワフワに仕上げて届けるくらいしか私にはできなかったが、家にいた時のような安心する香りを祖母に届けたかった。
入院から5ヶ月後、祖母は静かに旅立った。私は祖母の好きだったハミングを使い続けている。天気のよい日、洗濯物を干しながらハミングのやさしい香りがフワッと香ると、元気だった祖母の姿が浮かぶ。ハミングのようにやさしく、そばにいるような気がしている。
「ハミングフレア」のやさしい香りが、お祖母さまの安心であり、はこねさんの大切な記憶になっていることが印象的でした。見えなくても感じられる“香り”の力を、あらためて思い出させていただきました。ありがとうございました。
ゆゆさん 20代 東京都
ひとり暮らしを始めてから、初めて自分で柔軟剤を買った。店頭で何気なく手に取ったのは「ハミング」。家に帰って洗濯をして、干したばかりのタオルの香りに、思わず立ち止まった。
あ、これ、実家の匂いだ。朝のバタバタした時間、母が畳んでくれたタオル。洗面所で顔を拭くたび、何も気にせず吸い込んでいたあの香り。
知らないうちに、母はこんなやさしい香りで毎日を包んでくれていたんだ。何気なく選んだ一本が、ふっと心をゆるめてくれる。
洗いたてのタオルに顔をうずめながら、わたしは静かに「ただいま」とつぶやいた。ハミングの香りが、ひとりの部屋をやさしく満たしていく。
思わず「ただいま」とこぼれるようなやさしさが、洗いたてのタオルからあふれていた…。香りが届けてくれた、大切な記憶のギフトですね。
これからの新しい暮らしにも、ハミングの香りがそっと寄り添えたら嬉しいです。
もこさん 40代 千葉県
『そっと、わたしのそばで』
お気に入りの柔軟剤を入れた日、ふわっと香る洗い上がり。
エルがその上にちょこんと乗って、くんくんと鼻を鳴らす。
「あ、これ好きなやつ?」って聞くと、しっぽがふるふる。
ららは少し離れて丸まってるけど、いつの間にかそっと寄り添ってる。
洗いたてのタオル、ほんのり香るハミング。
それはただの香りじゃなくて、「安心していいよ」っていう、私からふたりへのメッセージ。
そしてその香りに包まれた私も、ふたりに守られてるんだって思う。
やさしい時間が、ふわりと暮らしに染み込んでいく。
お気に入りの香りに反応する、エルちゃんとららちゃんの様子がとても愛おしくて、読んでいて思わず頬がゆるみました。これからも、やさしい香りが小さなご家族との暮らしにふんわりと寄り添っていけますように。