「花王国際こども環境絵画コンテスト」子どもたちの絵をとおして、世界の人々の心を動かしたい!

未来を担う子どもたちと、地球環境を真剣に考えたい。
コンテスト開催に込められた想いとは?

  • 花王公式noteより

海外イベントをきっかけに、グローバルな環境絵画コンテストがスタート

<プロフィール>

三上 里実(みかみ・さとみ)
社会貢献部

「絵を描くことを通じて、子どもたちには環境について真剣に考えてもらう。それを見た大人には、環境に配慮したライフスタイルに変えてもらいたい。未来の子どもたちの笑顔のために、日々、使命感を持ってこの仕事に取り組んでいます」

——花王が環境をテーマに、世界の子どもたちの絵画コンテストを開催しているのはなぜですか?始めたきっかけと狙いを教えてください。

三上:2010年にインドネシアで開催された環境配慮型製品・サービスの展示会に出展した際に、花王のブースで、現地の子どもたちが環境について考えて描いた絵を展示したことが始まりです。

絵に込められた子どもたちのメッセージに、当時の社長をはじめ皆が心を打たれ、「子どもたちが環境に関心を持つきっかけを花王の取り組みからつかんでほしい」「子どもたちの未来を花王も一緒に見ていきたい」との想いから、その年に、さっそく「花王国際こども環境絵画コンテスト」として開催をスタートしました。今年で、14年目を迎えます。

——海外からの作品が多く入賞していますが、なぜですか?
 
三上:実は、これまでの応募作品の85%が海外からだからです。

アジアには、花王のグループ会社が多くあり、現地でコンテスト事務局を設けています。その担当者が、一生懸命に募集活動や啓発活動をしてくれているのが、ひとつの大きな理由だと思います。とりわけ、発端となったインドネシアが熱心です。インドネシアは身近なゴミ問題も深刻なので、現地の担当者の働きかけに、子どもたちも敏感に反応し、作品を応募してくれています。
 
花王のグループ会社がない国からは、絵画学校などをとおして応募があります。これまでに約100の国と地域から応募がありました。第1回からの累計作品数は13万点を超えています。


子どもたちの絵を見て、大人たちがハッとする

——14年と長く続くコンテストですが、毎年テーマは違うのですか?

三上:これまでにテーマを2回変更しました。
最初は、花王の環境経営のスローガンでもある「いっしょにeco」をテーマにし、2016年からは「環境は一人の力では変えられない」ことを改めて表現するために、「みんなでいっしょにeco」に変更しました。
 
さらに、2021年からは、SDGsの広がりもあり、環境だけでなく社会全体をふまえた「サステナブルな環境をみんなでつくろう」に変更しました。

——入賞した子どもたちの絵のレプリカが、花王の社内に多く飾られています。クオリティの高さには驚かされるばかりです。

第9回コンテスト(2018年)“いっしょにeco” 花王賞
「ごみを食べるクジラ」

三上:原画に近いレプリカなので、子どもたちの筆遣いや息づかいが伝わってきますよね。絵を身近に見ることで、社員にも一生活者として、環境への想いを新たにし、行動変容につなげてほしいという願いを込めて展示しています。

最近は学校での環境教育が盛んなこともあり、子どもたちの環境への意識が高く、知識も豊富です。その分、子どもたちの絵から、逆に大人たちが学ぶことが多いように感じるんです。今は、大人への啓発にも力を入れています。
 
——子どもたちのために始まったコンテストが、大人への啓発にもつながるなど、活動が変遷しているのですね。
 
三上:環境情報センターやリサイクルセンターなどの自治体の環境関連施設で展示活動を行っています。また、ショッピングモールなどでも展示させてもらい、買い物に来たお客さまの目に触れる機会を設けています。
子どもたちの絵を見て感じ、行動が変わるきっかけにしてもらえたらと願っています。


入賞作品を選ぶだけでなく、世界中の人々に伝えていくことが花王の責任

——現在募集中の第14回について、応募対象となる6歳から15歳(2023年8月末日時点の年齢)の子どもや、保護者に向けたメッセージをお聞かせください。

三上:昨年まではコロナの影響で国際郵便が一部停止し、作品が届かない国や地域がありました。今年は緩和されているので、また以前のように多くの作品が届くといいなと、楽しみにしています。

絵は、筆一本あれば描けるので、ぜひ気軽に参加をして欲しいですね。特に日本国内からの応募の割合が少ないので、この夏休みの自由課題などとして応募してくれるのを期待しています。

コンテストは絵を審査して入賞作品を決定するだけでなく、環境への子どもたちの想いを真摯に受け止め、世界の多くの人々に伝えることが、花王の責任だと考えています。お子さんたちの環境へのメッセージを絵にのせて届けていただき、私たちに託していただけるとうれしいです。

第2回コンテスト(2011年)“いっしょにeco” 地球大賞
「折り鶴が羽ばたく新しい世界」


30年、50年と続く絵画コンテストに育てたい

——来年は第15回という節目を迎えます。将来に向けて、どのような展望をお持ちですか?

三上:子どもたちの絵をより多くの人々に伝えて、地球環境のための行動変容につなげたいという想いはこれからも変わりません。さらに今後は、一つひとつの絵とじっくり対話して絵を深く見てもらえるような活動も加えていこうと思っています。

子どもたちが込めた想いを深く感じてもらえれば、今よりも一層、環境を意識するようになり、日々の行動も変わると思うのです。社内からスタートし、ゆくゆくは一般の方にも広げていきたいです。

——子どもたちの絵に、どこまでも真摯に向き合っていらっしゃるのですね。最後に、三上さんの今後の夢をお聞かせください。

三上:昨年は、オンライン表彰式で、入賞者のウクライナのお子さんの笑顔に会うことができました。私は「子どもの笑顔って社会で一番大切なんじゃないかな」と思っているので、戦渦にあるお子さんも含めた世界中の子どもたちがひとつの場で繋がることができたということは、胸に迫るものがあり、絵画コンテストの担当になってから最も感動した瞬間でした。

子どもたちの絵からは、日々の暮らしぶりも垣間見え、環境だけでなく、平和についても考えさせられます。そうした多様性があるのは、この絵画コンテストの大きな特徴の一つです。子どもたちの未来のために、この活動はずっと続けていかなければならないのだろうな、という使命感を感じながら、取り組んでいます。
 
私たちが定年退職した後も、30年、50年と続いていくように、今、しっかり土台をつくっていきたいですね。


編集後記

インタビューの中で、三上さんが語っていた「子どもたちの絵が、いっぱい語りかけてくるんです」という言葉が非常に印象的でした。わたしたち大人が、子どもたちの絵とじっくり対話することで、未来に向けて少しずつ毎日の暮らしを変えていく原動力になると思いました。作品と、そこに込められた想いを一緒に見ることができるオンラインミュージアムもぜひご覧いただきたいです。
 
「花王国際こども環境絵画コンテスト」の入賞作品がオンラインで見られるこども環境絵画ミュージアム


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