リサイクリエーション  使用済みのつめかえパックにもう一度 価値を吹き込みたい

未来のためにプラスチックの資源循環に挑む

※花王公式noteより

花王が進める「リサイクリエーション」は、“リサイクル”と“クリエーション(創造)”を組み合わせた取り組みです。
生活者・自治体・企業が力を合わせ、貴重なプラスチック資源を循環させ、次の未来へとつなぐ。そこには、「ごみをなくす」だけでなく、「新しい価値を生み出す」という想いが込められています。

使用済みのつめかえパックを回収し、破砕・洗浄して再びつめかえパックの原料やブロックに再生する。2015年にスタートしたこの活動は、今や全国へと広がり今年で10年、花王のサステナビリティを象徴する取り組みのひとつとなっています。

今回は、その中心で活動する瀬戸啓二さんに、リサイクリエーションの歩みとこれからを聞きました。

<プロフィール>

瀬戸 啓二(せと・けいじ)

花王株式会社 研究開発部門 研究戦略・企画部
入社後から、化粧品研究所の研究員としてスキンケア商品の設計などを経験。その後、2019年から花王の研究戦略・企画部にてリサイクリエーションを推進。

化粧品研究からリサイクリエーションの最前線へ

——もともとは化粧品の研究をされていたんですね。
 
瀬戸:入社後、スキンケア商品の処方研究に配属されました。その後は、研究所全体をどう活性化させるかといった研究企画の仕事も経験しました。化粧品の研究を通じて学んだのは、原料の背景やつくる人の想いを含めた「価値づくり」です。製品の機能だけでなく、理念やストーリーを伝えることも研究の一部なんです。

——その後、リサイクリエーションの担当に?
 
瀬戸:新しい挑戦をしたいと思っていた頃に異動の話をもらいました。当時所属していた小田原事業場でもサステナビリティやリサイクル関連の取り組みに関わっていたので、心理的なハードルはありませんでしたね。リサイクリエーションも、ただ使い終えたものを回収してもう一度使うということでなく、そこに込められた“ストーリー”を感じてもらうことが大事なんです。

例えば、衣料用洗剤「アタックZERO」では、回収した使用済みのつめかえパックの原料を活用した「おかえりつめかえパック」を期間限定で発売したことがあります。製品に一度使い終えた素材が使われていると目には見えにくい。でも、それが環境によいものだと知って、価値を感じてもらいたいと思っています。化粧品の研究で学んだストーリーの大切さは、今の仕事にも生きていますね。

使用済みのつめかえパックを活用した「おかえりつめかえパック」(左)と「おかえりブロック」(右)

——ちなみに小田原事業場でのリサイクル活動はどんなことを?
 
瀬戸:回収したつめかえパックで作った「おかえりブロック」を使って、小田原城のモニュメントを作ったことがありました。リサイクリエーションの啓発活動のひとつとして取り組んだのですが、制作の様子を撮影してチームに共有したら、とても喜んでもらえて。リサイクルには人を巻き込む力があると実感しました。
社内需要は推進力につながるので、社内でもリサイクリエーションに取り組む理由や想いを伝えることが大切だとも思いました。

“続けられる仕組み”をどうつくるか

——着任された2019年からこれまで、どのように進めてこられたのでしょうか。
 
瀬戸:2015年からスタートしている活動なので、着任時にはすでに回収の仕組みの原型はできていました。
当時の一番のテーマはリサイクリエーションの自走化でした。例えば、自治体の取り組みの中にリサイクリエーションが入ることや、生活者のみなさんが自然に分別してリサイクルが推進できる世の中にしていくなど、花王が強く関与せずとも、社会に広がることを目指す必要がありました。

今は、花王と一緒になって、自発的に取り組んでくださる自治体や地域、企業との連携を通じてリサイクリエーション活動を推進する役割を担っています。無理なくビジネスとして続けていくための仕組みを考えています。

——継続していくことも大切ですね。
 
瀬戸:それまでは、回収した使用済みのつめかえパックは「おかえりブロック」にしていました。その後、花王の技術で使用済みのつめかえパックを再びつめかえパックとしてリサイクルできることを示せたことは、インパクトも大きかったと思います。

ただ、それを花王のビジネスとしてどうやって取り組んでいくかも重要です。社会貢献のイメージが強いかもしれませんが、この活動を全国に広げ、継続していくためには、会社や社会全体の経済合理性が必要で、この活動にとって非常に重要なテーマだと感じています。
「おかえりつめかえパック」に使われる再生素材は通常より高価になるので、コストや量の課題に対しては、今もメンバーと改善を続けています。

オフィスのいたるところで「おかえりブロック」を活用

地域の子どもたちとつくる“未来の循環”

——協力してくださる自治体も増えてきたんですね。
 
瀬戸:現在は、10を超える自治体で活動しています。ありがたいことに、「なんでうちの近所に回収ボックスがないの?」と言っていただけることもあるのですが、軽い気持ちで広めないことも大切だと感じています。「やるならずっとそこでやっていくんだ」という覚悟が必要と思っています。無理なく続けるにはどうやったらいいだろうと考える日々です。

——活動する中で気持ちにも変化があったとか。
 
瀬戸:鎌倉市では企業、NPOや学校の先生方と、学校教育に取り組みました。かかわる大人の熱い想いを感じ、真剣に取り組む子どもたちから出てくる柔軟なアイデアを、ぜひ形にしたいと思いました。
我々大人は子どもたちから未来を借りている、という考え方があるそうです。子どもたちと関わることで、環境をよい形で残していく責任があると、より一層気持ちが引き締まりました。地域の方と直接コミュニケーションをとって一緒になって取り組むと、やっぱりその熱量や想いに動かされますね。

北海道・北見市に見る“地域の力”

——北見市でも熱心な活動が続いていると聞きました。
 
瀬戸:同じチームの佐藤剛さんが中心となって進めてくれています。

佐藤さん(右)は北見市でのリサイクリエーションを主導。関係者との調整などを担う

佐藤:市民・企業・行政が一体となって取り組んでいます。幼稚園やこども園で活動を伝え、子どもから親へ自然に広がるよう工夫しています。製品の販売データを活用して回収ボックスの配置場所を検討したり、地域メディアで繰り返し発信したりして、いかに生活に溶け込めるかということは意識しています。実際に「おかえりブロック」の展示や街でのイベントで活動を見える化したことも、継続的な参加につながっていると感じています。

カーリングが盛んな北見市を象徴するカーリングストーンを作り興味を引く工夫も

——市民のみなさんも積極的に取り組んでくださるのはうれしいですね。
 
佐藤:市民のみなさんが主役となり、さまざまなアイデアや活動を生み出しています。子育て世代を中心に多くの方に知ってもらい、長く関わっていただけるよう取り組んでいます。また、高齢者の方のサークルが仕分けや梱包を手伝ってくださったり、就労が難しい方が軽作業として協力してくださっています。北見市は地域全体で自分ごととして支える仕組みになっていますね。市の担当者からも「市民の方々にとってリサイクリエーションの活動が特別なものではなく日常になるように我々も期待していますし、協議会として今後も活動を広めていきたいと思います」と嬉しい声を受け取っています。

瀬戸:活動を知ってもらう努力を続けることが結果につながると実感しています。様々な手法で、繰り返すことで市民にも根付いていっていますね。

「かかわる人たちを裏切れない」責任をもって取り組む

——活動を続ける中で、大切にしていることは何ですか?
 
瀬戸:社会や環境のために、という想いで共感して協力してくださる方に「花王のためやってほしい」とは言えません。社会全体の価値として伝えること、その約束を守ることは意識しています。「この方々との約束は裏切れない」と思う瞬間が何度もあります。

そのため、一度置いた回収ボックスはできるだけ撤去したくありません。長期的に生活者の習慣づくりを支えることが信頼にもつながると思いますし、そのデータの蓄積がリサイクリエーションの活動にも活かせているので、今後も継続していきたいです。

日々の選択が、未来を変える

——最後に、読者のみなさんが日ごろからできるリサイクリエーションはありますか?
 
瀬戸:まずは一度でいいので、“使い終わったその後”を考えてみてほしいです。
容器をすすいで分別する、他のごみと混ぜない、循環に投資する企業や製品を選ぶ。それだけで循環の起点になります。日々の買い物も、未来につながるんです。

編集後記

リサイクリエーションは一朝一夕の活動ではありません。まだ先にあるゴールに向けて、周囲の方と協力しながら歩みを進める瀬戸さんの言葉ひとつひとつに熱がこもっているように感じました。“今日からできるリサイクリエーション”、私もやってみます!

My Kao メニュー
My Kaoでいいこといろいろ!
  • くらしのお役立ち情報を お届け!
    花王の生活者研究やモノづくりの知見で得た、くらしに役立つ情報をお届けします。​
  • 花王の商品担当と つながる​
    投稿サイトや限定イベントで、商品担当と意見交換。あなたの声が次の商品にいかされるかも!?
  • 花王公式の オンラインショップ
    ここにしかない限定商品や特別クーポンも。旧品などをお求めやすい価格でお届けするアウトレットもご利用いただけます。
  • 花王のお得情報が 満載
    花王のキャンペーン・イベント情報が一望できる!My Kao会員になると参加できる企画も実施中。
Page Top