アットコスメ共同創業者・山田メユミさん「化粧品を手にできない女性に、無償でお届けする」にかける思いとは(後編)

  • 花王公式noteより

「ギフトであること」にこだわった意味

村田:化粧品を“支給品”としてバラバラとお渡しするのではなく、あるタイミングで、福袋のようにバランスよくセットされたギフトとしてお渡しするというアイデアも素晴らしいと思いました。
 
山田さん:「あなたのことを応援している人がたくさんいますよ」というメッセージが伝わるものにしたかったんです。ご自分を大切な存在だと気づくきっかけとしていただき、自尊心につながるようなものであってほしい。そうした願いから、ギフトであることにこだわりました。
 
運営事務局には当事者である女性たちにも入ってもらい、自分たちがどのような形で受けとりたいかを議論していただいています。その中で、「母の日」と「クリスマス」という二つの山を設け、春と秋にギフトをお渡しするというアイデアが出てきました。
 
これなら、企業様の商品の入れ替えのタイミングにもぴったり合います。
 
村田:確かに企業側としても、春と秋であれば寄贈しやすいタイミングです。そこは化粧品に長く関わられてきた山田さんだからこその視点ですね。
 
山田さん:この活動は、単発では意味がありません。長く継続していくために、企業様にとって無理のないサステナブルな形を求めていくことも大切だと思っています。

母の日に向けた「春夏ギフト」


春夏ギフトの反響。「小躍りした!」という嬉しい声も

村田:2022年の母に日に向けた「春夏ギフト」には、どのようなお声が寄せられたのでしょうか。
 
山田さん:「受けとって小躍りした」「同居の母と娘の3世代できゃっきゃと喜んだ」といった、感激のお声を多くいただきました。伝わってくるエネルギーがすごいんです。単に化粧品が届いたという喜びではない、メンタル面ヘの影響をすごく感じます。
 
「一生懸命自立して、いつかこのギフトをくださった企業様の商品を買いたいです」というお声をいただいたときは、涙が出ました。
 
村田:今回のギフトには、水をかけるとお花が咲く、花の種が埋め込まれたグリーティングカードも添えられていますね。

花の種が同封されたグリーティングカード

山田さん:13種類の種がブレンドされていて、何が咲くかは咲いてからのお楽しみ。「カードが添えられていたのがうれしかった。子供と一緒に開花を心待ちにしています」というお声もいただきました。
 
村田:お母さんの喜びは、きっとお子さんにも伝わりますね。先程、ギフトを受けとられる女性たちの意見を聞いていらっしゃるとうかがいましたが、次の秋冬ギフトに入っていたらいいと思われる商品があったらご提案いただけますか?
 
山田さん:春夏は、日やけ止めがうれしかったというお声が際立っていたのですが、秋冬は化粧品プラスαで、入浴剤なんかもいいと思います。優先度が低くなりがちで、なかなか自分では買えませんが、あればご家族で喜んでいただけますから。
 
いずれはお子さんたちに喜んでいただける商品なども考えていきたいと思っています。中学生にもなると、まわりの友達がいろんなものを楽しそうに試しはじめますよね。そんな中、自分の子供に買ってあげられないことに、申し訳なさを感じているお母さんも多いと聞きました。


このプロジェクトで思い描く夢

村田:この「コスメバンク プロジェクト」について、山田さんが思い描く今後の夢をお聞かせください。
 
山田さん:一社のご負担でやっていただくとサステナブルにはならないので、複数の企業様のお力を少しずつお借りして、共感の輪を広げていく形で展開できればと考えています。また、活動に価値を感じながら幅広い世代に関わっていただき、ゆくゆくは次世代へとバトンタッチできればいいですね。
 
村田:1990年代にインターネットが普及していく中で、化粧品のクチコミサイト「アットコスメ」を立ち上げ、今はまた、SDGsの流れの中で「コスメバンク プロジェクト」を立ち上げられました。常に時代の先を行く発想はどこから生まれるのですか?
 
山田さん:いつも自分ゴトからスタートするんです。「アットコスメ」のときもまさにそう。たまたま手にすることになった化粧品のクチコミを、みんなで共有できるようにしたら喜ばれるのではないだろうかと、勝手ながら思ったのが原点です。
 
今回も、たまたまうかがった「口紅ひとつ手に入れられなかった」という女性のお話から、その方が喜んでくださるようなことをすれば、ほかにもきっと喜んでくださる方がいるのではないかという発想でした。
 
いち生活者として「それがあったらいいな」でしか動けないので、かっこいいことは何も言えないです(笑)。
 
村田:「アットコスメ」も今回の「コスメバンク プロジェクト」も、気づいたことに対して、まずは山田さんご自身が動いていらっしゃる。それが共感を呼んでまわりのひとの自発的な活動につながり、多くの方に喜ばれるサービスの提供や、社会貢献へとつながっているのですね。
 
今日は山田さんから直接お話をうかがうことができ、化粧品が持つパワーについても改めて考える機会となりました。また、「コスメバンク プロジェクト」の活動は、人にも社会にも地球にも優しい取り組みであり、まさに花王のめざす「豊かな共生世界の実現」と同じだと感じました。
 
花王は、Kirei Life~すべての人と地球にとってより清潔で美しく健やかな暮らし~の創造に社員一丸となって日々向き合っています。「コスメバンク プロジェクト」への参画を通じて、行き先のない化粧品にふたたび光を当てていただけることに感謝し、そしてなにより化粧品の力でひとりでも多くの方が尊厳を取り戻し笑顔になっていただける世の中になることを願っています。
 
どうもありがとうございました。


編集後記

前編・後編にわたりお読みいただきありがとうございました!
行き先のない化粧品が、必要とされる方々のもとに届けられ、それが受け取った方の笑顔につながる。インタビューを終えて、改めて「コスメバンク プロジェクト」の活動に参画させていただいていることに喜びを感じました。こんなふうに、これからも社内だけでなく社外の方々とも、“もったいない”ことを減らしながら、人々の暮らしに幸せを増やす、まさにハピネスの好循環につながる活動をしていきたいです!


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