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表参道と明治通りが交わる原宿の神宮前交差点。その角に、人目を引くガラス張りの新商業施設・東急プラザ「ハラカド」が2024年4月に誕生!なかでもひときわ注目を集めるのが、花王がパートナー企業として参加する地下1階の「チカイチ」です。プロデュースするのは、高円寺で90年以上愛される老舗銭湯「小杉湯」。
8年前に小杉湯を引き継いだ3代目・平松佑介さんの情熱に突き動かされて始まった、新たな協働。日本の清潔・清浄文化の発展に寄与してきた花王が、文化の発信地である原宿で、今、老舗銭湯と手を取り合う意義とは?両社の熱い想いに迫りました。
<プロフィール>
平松佑介(ひらまつ・ゆうすけ)さん
株式会社小杉湯 代表取締役
昭和8年に創業し、国登録有形文化財に指定された高円寺の老舗銭湯「小杉湯」の3代目。ハラカドの地下1階「チカイチ」に、2店目となる「小杉湯原宿」を開業。同フロア全体もプロデュース。
野原 聡(のはら・さとし)
花王株式会社 ヘアケア第一事業部 ブランドマネジャー
2006年入社。「アタック」のマーケティング、営業を担当したあと、花王中国で3年間、デジタル・ECを中心としたマーケティングを経験。現在、ブランドマネジャーとして国内インバスヘアケアカテゴリー(melt, Essential,メリット,セグレタなど)のマーケティングに従事。チカイチプロジェクトリーダーを兼任。
——「チカイチ」でパートナー企業を募ることになったとき、小杉湯さんが最初にお声がけくださったのが、花王だと聞いています。
平松さん:銭湯に欠かせないパートナーとして、花王さんとぜひ一緒にと考えていました。銭湯と花王さんは、歴史的に密接につながり、共通点も多くあります。銭湯は、日本の公衆衛生を支えてきたインフラ。花王さんも、日本の清潔・清浄文化を支えてきた会社です。両社を掛け合わせることで、改めて社会に対し、公衆衛生、清潔・洗浄文化を伝える機会になると思いました。日本が誇るべきこの文化を、原宿から発信することは、世界への発信にもつながります。
——花王は、小杉湯さんからのオファーをなぜ受けたのですか?
野原:存在理由がほぼ同じというのがいちばん大きいです。花王は137年前の創業以来、清潔・清浄に根ざした商品を開発し、生活者にお届けしてきました。そして小杉湯さんは91年前から、「きれいで、清潔で、きもちいい」湯を沸かすことをモットーとし、公衆衛生を生活者に提供しています。
両社には、未来に対して共通の想いもありました。
——共通する未来への想いとは?
野原:公衆衛生や清潔・清浄文化は、体だけでなく、心にもはたらきかけるということです。
平松さん:僕が3代目として小杉湯を引き継いだときは、「銭湯は、社会に必要なのか」が大きな問いでした。銭湯は家におふろがなかった時代の公衆衛生インフラで、体の清潔だけを考えれば、家のおふろで十分だからです。しかし今、「銭湯は、ゆるやかな人とのつながりが感じられる“心のインフラ”として潜在的に求められている」との想いを強くしています。
近すぎず遠すぎず、名前や年齢、肩書きに関係なく、裸のつき合いをする。「一緒におふろに入る」といったふれあいの中で、癒やされたり、救われたりする人々は、若い世代にも多いのです。
野原:花王も、生活者に清潔・清浄をお届けすることが、こころ豊かな未来を創造できると考えています。コーポレートスローガン「きれいを こころに 未来に」も、まさにそれをあらわしています。
——「チカイチ」では、どんな取り組みが始まっていますか?
平松さん:複数のパートナー企業さんと協働しながら、銭湯を中心とした街のようなフロアをつくっています。
「素になれる」「そのままの自分でいられる」体験をお届けすることをめざしているので、コンセプトは、「素のまま、そのまま」です。
ブースには、各企業が大切にしてきた価値観や想いを、「素」の一字として掲げています。小杉湯の素は、ズバリ「湯」。花王さんは「清」です。
——花王は「チカイチ」で、具体的に何を行っているのですか?
野原:小杉湯さんの浴室・脱衣室で使っていただくすべてのアメニティを提供するとともに、ブースでは、花王の清潔・清浄文化を体験していただくイベントを行っています。
オープンしてすぐは、初代花王石鹸(現:花王ホワイト)や、過去に作られた花王石鹸などの包装紙を展示。桐箱に入った花王石鹸の復刻版や、レトロな包装紙に包んだ花王ホワイトを数量限定で販売しました。
また、休みながら美しく “休息美容”をコンセプトに掲げるヘアケアブランド「melt(メルト)」の世界観を体験していただくイベントを全館ジャック型で開催。小杉湯さんの浴室では、とろシュワ濃密泡の生炭酸*シャンプーなどを、脱衣室では髪用化粧水を自由にお試しいただきました。
*パウダーを水に混ぜると発生
平松さん:広告ではなく、“体験”が入り口なので、お客さまが「これ、使ってみてどう?」と、スタッフに気軽に聞いてくれることが多いですね。僕たちも、リアルな使用感を伝えます。街というコミュニティの中で、口コミが生まれるような感覚です。僕らが常に「発信する側」に立つのではなく、お客さまから情報を受け取ることもある。これぞ銭湯のおもしろさで、花王さんにとっても気づきになるのではないかと思っています。
野原:その点でいうと、「石鹸ポスト」の試みもおもしろかったですね。せっけんエピソードを募集したところ、多くのお客さまが投函してくださいました。ブースに貼ったり、ハラカドチカイチ花王の公式Xで公開したりしています。双方向のコミュニケーションをダイレクトに感じることができ、楽しく、新鮮でした。
※ご紹介した取り組みは既に終了しているものがございます、ご了承ください。
—— 今後は、どんな体験イベントを計画していますか?
野原: 花王のさまざまなブランドを体験していただくことはもちろん、ブランド横断のイベントも考えています。今、アイデアとして出ているのは、さまざまな香りを体験していただく展示。もうひとつが、容器にフォーカスした展示。泡で出るタイプのポンプ容器を20種類くらい並べ、出てくる泡のきめ細やかさの違いを体験していただくなどです。展示を見た後は銭湯の中で、いくつかの商品を実際に使っていただく。お子さまたちの夏休みの自由研究などにも利用してもらえたら、うれしいですね。
平松さん:「チカイチ」の中でさらなるコミュニケーションが生まれるよう、複数のパートナー企業さんがコラボレーションする企画も実施していきたいです。
—— 最後に、「チカイチ」での協働をとおして、お二人が期待していることを教えてください。
平松さん:高円寺の小杉湯と同じく、「地域に根ざして、人が集まって行き交うような場所」を丁寧につくっていきたい。人が集まることで生まれる化学変化を、ハラカド、そして原宿の街に広げていきたいです。
また、今回、2号店をつくったことで、東京だけでなく地方にも、3号店、4号店と広げたいという想いを新たにしました。いつかは、世界のどこかにも銭湯をつくってみたい。
街の銭湯である小杉湯にとって、「チカイチ」で花王さんとの協働をスタートできたことは、とてつもなく大きな出来事でした。その先には、新たな挑戦も見据えています。
野原:花王としても、今回、小杉湯さんとの協働により、生活者に体験を直接お届けする場所をつくることができたのは、新たなチャレンジの始まりとなりました。「チカイチ」での双方向のコミュニケーションは、いずれモノづくりにも活きてくると信じています。いつか小杉湯さんとともに、世界のどこかで、日本の銭湯と、銭湯を中心とした街づくりも提案したいですね。そんな夢を抱きながら、まずは「チカイチ」で、ワクワクする体験のお届けを重ねていきたいです。
平松さんの情熱と人柄に突き動かされて、社内を説得し、事業横断での協働を実現させた野原ブランドマネジャー。立場あるおふたりですが、企画や未来の構想を語るその目はとてもキラキラしており、純粋でちょっとやんちゃな少年たちのよう。いつだって社会を動かすのは「人」の力なのだと、しみじみ実感。あ~小杉湯の銭湯に入りたくなっちゃったな。
\体験イベントなどの情報を発信!/
ハラカドチカイチ花王【公式X】
https://twitter.com/kao_harakado_jp
【小杉湯原宿】5/13(月)以降の営業スケジュールについてhttps://note.com/kosugiyuhrrajuku/n/nbd652764bca9
小杉湯|昭和8年創業|note
平松佑介 | 小杉湯三代目|note
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花王石鹸ホワイト