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独特の“発泡”がクセになる!この春、2つのブランドからそれぞれ「炭酸*1泡洗顔料」と「炭酸*2泡シャンプー」が発売になりました。共通点は、「粉(パウダー)」に水を加えると炭酸が発生して発泡する花王最新の「炭酸*1*2泡洗浄剤」が採用されていること。
開発したのは、スキンケア・ヘアケアそれぞれの研究員…だけじゃないんです!そこにはもう一人、影の立役者がいました。
今回は、花王最新の「炭酸*1泡洗顔料」&「炭酸*2泡シャンプー」のキーマンとなった「粉」担当、加工・プロセス開発研究所の池田研究員に開発秘話を聞きました。
<花王最新の炭酸*1泡洗顔料>
毛穴の中で“躍る炭酸*1泡”のピーリング洗顔パウダー
『スイサイ ビューティクリア ピーリング パウダーウォッシュ』(カネボウ化粧品)
<花王最新の炭酸*2泡シャンプー>
ヘッドスパ発想!“とろシュワな濃密泡”の生炭酸*2シャンプー
『メルト クリーミーメルトフォーム』(花王)
*1 「スイサイ ビューティクリア ピーリング パウダーウォッシュ」:水に触れると重曹(炭酸水素Na)とクエン酸(発泡剤)が反応
*2 「メルト クリーミーメルトフォーム」:パウダーを水に混ぜると発生
<プロフィール>
池田 学人(いけだ・まなと)
2008年入社 加工・プロセス開発研究所
仕事のモットー「研究は面白がる、工業化は人事を尽くす」
――まず、「加工・プロセス開発研究所」って、どんな研究をしているのですか?
池田:「加工・プロセス開発研究所」の仕事を一言で言うと、“製品の製造プロセスの開発を行う研究所”です。花王の研究体制は、各事業の商品化に関わる研究を行う「商品開発研究所」と、さまざまな商品に広く横断的に関わる研究や新事業のための中長期的な研究を行う「基盤技術研究所」に分かれています。これらがダイナミックかつ柔軟に交わることで、花王内において、より革新的で価値の高い商品を生み出す仕組みになっているんですよ。
池田:「基盤技術研究所」である「加工・プロセス開発研究所」は、社内では略して「加プロ」って呼ばれてます!その中でも私が所属するチームは、各事業の「商品開発研究所」とタッグを組んで、商品開発から生産まで一連の各工程で、“その製品をどうつくるか”を構築する、製造プロセスの研究開発をしています。
――なるほど!池田さんは「加プロ」で具体的に何を担当されてきたのですか?
池田:私は入社以来、花王の「粉」を使った商品の技術開発を担当してきました。はじめは「衣料用粉末洗剤の“粉”」、そこから「食洗器用粉末洗剤の“粉”」「トナーの“粉”」「ハミガキの“粉”」「食品・サプリの“粉”」、そして現在が「シャンプーと洗顔料の“粉”」です。気づけば「粉」ひとすじ16年。幅広い「粉」の知識を身につけながら、さまざまな商品に携わってきました。
――まさに、「粉」のエキスパートといえる池田さん!今回の「suisai beauty clear」の炭酸*1泡洗顔料と「melt」の炭酸*2泡シャンプーも「粉」がポイントだと思いますが、どんな経緯で誕生したのですか?
池田:「加プロ」では、自分の担当領域の研究開発業務に加え、いわゆる「自由テーマ」を研究できるんです。「研究テーマ検討会」といって、“自分がやりたいこと”や“世の中に必要だと思うこと”など、業務以外の研究テーマを自由に提案し、内容が良ければ、自身の研究テーマとして業務にできる仕組みがあります。そして実は、今回商品化された「炭酸*1泡洗顔料」と「炭酸泡*2シャンプー」は、この「研究テーマ検討会」から生まれました。
微発泡する食品の技術開発をしていた頃、この技術を応用して新しい洗浄剤ができるんじゃないかと当時のチームメンバーと議論が生まれたんです!そこから、「研究テーマ検討会」を活用し、水に入れると炭酸が発泡する新しい粉末洗浄剤を開発しました。これを社内研究発表会でのポスター発表でお披露目したところ、まずスキンケア研究所から、「モコモコ泡立って視覚的にもおもしろい洗顔料を作りたい!」と声がかかり、商品化に向けて歩みだしました。その後、洗顔料の商品化の兆しが見えてきた頃、ヘアケア研究所からも「シュワシュワ音を聴覚的に楽しんでもらえるシャンプーを作りたい!」と声がかかりました。
通常「加プロ」は、商品開発研究所や事業部からの「こんな商品を作りたい」といった要望を受けて、技術開発を行うことが多いので、今回のような「加プロ」発信での商品化は、とても嬉しかったです!
――商品化する上での苦労はありましたか?
池田:はい、一筋縄ではいきませんでした。まず立ちはだかったのが、「粒のコントロール」です。「加プロ」として、製剤の「安定性」を担保させるのは大前提です。その上で、スキンケア研究所とヘアケア研究所それぞれが求める“発泡”とのバランスを考えながら、粉の「安定性」と「手触り」を両立させるのが課題でした。粉の粒が小さいと安定性が悪く、さらさらにはなりません。一方、粒を大きくするとさらさらしますが、今度は水に溶かしたときの手触りが悪くなります。これらを両立するための、「粒の大きさ」と「水への溶けやすさ」を設計するのに苦労しました。
――「加プロ」のもう一つの大事な仕事、「生産現場」にも苦労があったのですか?
池田:その通りです。次の課題は、「ラボで開発された商品価値を工場での大量生産でも実現すること」でした。製剤が特殊だからこそ、緻密に計算して研究所で設計したとおりの粒を、工場でも同じように生産するというのも、実はすごく大変なんです。ここは、チームや生産現場と強力なタッグを組んだことで、何とか実現できました。ラボと生産現場の橋渡し役として商品化をサポートできるのは、研究所である「加プロ」ならではの醍醐味です。
池田:私がこの洗浄剤を研究し始めた構想段階から含めると、「suisai beauty clear」「melt」での商品化まで約5年かかりました。長い道のりでしたが、自分が探求してきたものが取り上げられ、「スキンケア研究所」「ヘアケア研究所」それぞれが求める“発泡”を実現できたことが、何よりも嬉しかったです。
――池田さんの苦労とこだわりが詰まった2つの商品。その努力を噛みしめて使いたいと思います!
池田:ありがとうございます!「スキンケア」と「ヘアケア」で渾身の商品ができたと思っています。発泡する炭酸*1*2泡を触って、粒のひとつひとつまで感じていただきたいです。商品開発研究に対して、さまざまな商品に広く横断的に携わる基盤技術研究を行っている花王ならではの商品だと思います。 “モコモコ”“シュワシュワ”といった異なるタイプの発泡を感じながら、楽しんで使ってほしいですね!
*1 「スイサイ ビューティクリア ピーリング パウダーウォッシュ」:水に触れると重曹(炭酸水素Na)とクエン酸(発泡剤)が反応
*2 「メルト クリーミーメルトフォーム」:パウダーを水に混ぜると発生
――最後に、今後の夢について教えてください
池田:これからも「粉」に携わり続けたいと思っています。実は今、「粉」の先にある「泡」にフォーカスした新しい研究もしています。「粉」の持つパワーを最大限引き出して、お客さまが「おっ!」となるような今までにない“驚き”や、使うだけでワクワクする“楽しさ”を提供できる商品をめざし、製造プロセスの開発に取り組んでいきたいです。
新しい技術を裏で支える基盤研究員の開発秘話。あらためて商品を支える研究の奥深さを感じました。ぜひ普段のお手入れに取り入れて、“粒に込められた想い”、そして、泡・音に注目して“発泡の楽しさ”を感じてください♪
◆「suisai beauty clear」のブランドサイト
https://www.kanebo-cosmetics.jp/suisai/
●「melt」のブランドサイト
https://meltbeauty.jp/
●この記事に関連する商品はこちらから
melt(メルト)
スイサイ ビューティクリア ピーリング パウダーウォッシュ