
※花王公式noteより
昨年、ゲーム界隈をざわつかせた花王の3D探索型ホラーアクション/清掃シミュレーションゲーム『しずかなおそうじ』。意外な組み合わせですが、その裏側には「若い世代に、おそうじへの興味をもってもらいたい」という担当者の熱き想いがありました。今回は、開発に携わったメンバーを直撃!前例のないホラーゲーム制作に挑み、新しいマーケティング施策としてかつてない成果をもたらした舞台裏に迫ります。
INDEX

<プロフィール>
(左写真)
杉本 健(すぎもと・けん)
花王株式会社 作成センター 第1ブランドCR部
クリエイティブディレクター・アートディレクター・デザイナー
多摩美術大学を卒業後、広告制作会社を経て2008年に花王入社。
ホームケア・ファブリックケアを中心に広告・デザイン・コンテンツ開発を担当。現在は「マジックリン」「ハミング」「ワイドハイター」等を担当。
(右写真)
佐々木 貴悠(ささき・たかひろ)
花王株式会社 ホームケア事業部 トイレ・バス用品担当
食品メーカー勤務を経て、2023年に花王入社。
マジックリン、カビハイターなどを担当。マジックリンのマーケティング業務に加え、『しずかなおそうじ』プロジェクトメンバーとして企画の推進を担当。
——最初に『しずかなおそうじ』がどんなゲームなのか、教えてください!

しずかなおそうじ 動画広告
杉本:物音を立てると忍び寄ってくる「ナニカ」と呼ばれる怪物に襲われないよう、静かにおそうじをしながら進んでいく3D探索型ホラーアクションゲームです。舞台は、亡き父から相続した古い別荘。
「マジックリン」や「クイックル」といった花王のおそうじ商品を駆使して、家の中の汚れをきれいに落としていきます。汚れを落とす爽快感とホラーならではの緊張感を体験できます。
2025年8月にPCゲームプラットフォーム「SteamⓇ(スチーム)」で無料公開し、Xでトレンド1位、LINE NEWSでもランキング1位を獲得するなど、かなり話題になりました。
——そもそも、なぜホラーゲームを作ることに?
佐々木:マーケティング施策の一環としてのチャレンジでした。私たちが今、アプローチしたい若年層の間で「ゲーム実況」というカルチャーが熱いことに着眼したんです。「怖っ!」「ビックリした!」など、配信者がリアクションしやすいホラーゲームは、数あるジャンルの中でゲーム実況に向いていると考えました。
——でも、どうして若年層がターゲットなんですか?
佐々木:花王では、若年層のおそうじ離れや、商品への関心の薄さに危機感を抱いていました。テレビCMを中心とした従来の手法だけでは、今の若年層との接点をつくることが難しくなっていました。
杉本:化粧品やヘアケア商品では盛んなSNSでの話題化も、おそうじ商品ではずっと苦戦してきました。そんな八方塞がりの状況を打破すべく発足したのが、私たちのプロジェクトチームです。クリエイティブエージェンシーWhateverさんと初めてタッグを組み、「若年層との接点」を探るべく試行錯誤を重ねました。そうしてたどり着いたのが「ホラーゲームを作って、実況配信してもらう」というまったく新しい発想だったんです。
——その挑戦に、社内で異論は出なかったんですか?

杉本:この質問、よく受けるんですけど、答えとしては「スムーズに承認された」です。ただ、単に「ホラーゲームを作りたい」と提案したわけではなく、若年層との新たな接点をつくるという目的から逆算して、なぜゲーム実況なのか、なぜホラーなのかまで含めて提案しました。
佐々木:花王って真面目な会社というイメージかもしれませんが、生活者をちゃんと見据え、課題を解決できる戦略上の絵がきちんと描けていれば、ぶっ飛んだアイデアにもOKを出してくれる。新しいチャレンジを後押ししてくれる社内風土がありますよね。
——ホラーゲームを制作するにあたって、こだわったのはどんなところですか?
佐々木:徹底して「ゲーム実況してもらうことを前提」に作り込みました。通常の広告コンテンツは、テレビや動画サイトの広告枠で配信します。しかし『しずかなおそうじ』は、自然発生的に実況配信してもらうことを目標にしていました。広告配信に費用をかけない分、「これは配信したい!」と興味をもってもらえるようなクオリティの高さやおもしろさを追究しました。
——具体的にピックアップすると?
佐々木:配信者がオリジナルの実況ができるよう、ゲーム内で自由に歩き回って探索できる仕掛けや、“三日月の欠片”を集めるという謎解き要素を散りばめました。また、清掃率や清掃時間などによって結末が変わる「マルチエンディング方式」を採用しています。
杉本:1〜2時間でクリアできる設計にしたのも、実況しやすくするためのこだわりです。声優のナレーションのあるゲームは人気ですが、今回はあえて実況者の妨げにならないよう、入れませんでした。
佐々木:ゲーム実況による疑似体験を通じて、花王の商品への理解を深めてもらうことも私たちのこだわりポイントです。「この汚れには、この商品がいいよ」と汚れの種類に適した商品や、正しい使い方を表示したり、「クイックルワイパーの柄を短くすると、網戸そうじにも便利に使える」といった裏技を盛り込んだりして、自然とおそうじの知識が身につくように工夫しました。

「クイックルワイパーで網戸そうじ」の裏技紹介シーン
——エンディング曲が、かなり話題になっているようですね!

プロジェクトメンバーでの会議の様子
杉本:共に開発しているWhateverさんにホラーゲーム好きの方がいて。「ホラーゲームのエンディングには、ヘビメタだー!」とおっしゃるので、そこを信じてオリジナル曲を作っていただきました。ホラーゲームへのリスペクトになるらしいんですけど、僕らもよくわかってなくて……。予想外の反響に、驚いてます(笑)。
——『しずかなおそうじ』は、世界最大級の広告・クリエイティブの祭典「カンヌライオンズ2026」のゲーミング部門で、花王初となるブロンズ賞を受賞!「YouTube Works Awards Japan 2026」で最高賞の「Grand Prix(グランプリ)」に。「Gamification Award 2025」でも受賞するなど、高く評価されました。

(左)「カンヌライオンズ2026」と(右)「YouTube Works Awards Japan 2026」受賞
杉本:自分たちが楽しみながら作ったものが戦略としてうまくいき、広告賞にまで手が届くなんて。クリエイティブの人間としてこれほど光栄なことはありません。
栄誉ある賞をいただいたのはもちろんですが、「花王がホラーゲーム?」とSNS上で多く発話されたり、「やっていることがおもしろい」「新しい手法だ」と話題になったりして、広告としてしっかり機能したこともうれしかったですね。
佐々木:私は、何よりも今回の施策を通して、「実際に商品を使ってそうじした」という反響もあり、若年層の「行動変容」に結びついたことの喜びが大きかったです。

あるゲーム実況配信者とのコラボレーション動画が45万回再生を記録したのをきっかけに、ゲームのダウンロード数が公開後30日で計画比の7倍を達成。その後、数百万規模のフォロワーを持つゲーム実況配信者によるオーガニックな配信が相次ぎ、関連実況配信は3,200本以上で、総再生数は約500万回に拡大しました。こうした実況配信が広がった結果なのか、なんとゲームに登場する一部商品の売り上げが大幅に伸長!狙った以上に、非常に大きな成果が出ました。
——2026年7月には、第二弾として「Nintendo Switch™版」がリリースされましたよね。
佐々木:せっかくいいコンテンツができたので、ファミリー層など、もっと多くの皆さまに届けたいという想いがあったんです。お子さまも楽しめるように「こわさひかえめモード」を新搭載しました。

『しずかなおそうじ』で遊ぶこどもたち
杉本:ホラー要素を軽減した上で、お子さまが自分ごと化しやすいストーリーに変更。漢字にはすべてルビ(ふりがな)を振っています。
佐々木:ダウンロード価格は税込200円。花王の収益はすべて、子どもの教育支援などに取り組む団体へ寄付します。
——今後、新たなゲームを開発する予定はありますか?
杉本:ゲームの続きがあるかどうかは今のところまったくの白紙です。ただ今回、新しい広告手法って、まだまだあるんだなというのがわかったので、時代に合わせて面白いことに挑戦していきたいです。
佐々木:目的を達成するための手法って、マーケティングの側からもまだいろいろあると思っていて。今回うまくいったように、課題をシャープに切り出すことを大事にしながら、新しい施策にチャレンジできたらと思います。
インタビュー中、楽しそうに語ってくれた杉本さんと佐々木さんの姿が印象的でした。
「花王がホラーゲーム!?」という意外な挑戦の裏には、若い世代におそうじへの興味をもってもらいたいという熱い想いと緻密な戦略がありました。変化する時代に合わせ、届け方も変えていく。そんな挑戦から生まれた『しずかなおそうじ』を、ぜひお試しください。そして、おそうじに興味をもっていただけたらうれしいです。
●この記事に関連する商品はこちらから
マジックリン商品一覧 | 花王公式通販 【My Kao Mall】
クイックル商品一覧 | 花王公式通販 【My Kao Mall】